データ分析やハイパフォーマンスコンピューティング (HPC)、機械学習、ハイブリッドクラウドといったデータセンターの将来を視野に、Lenovoがデータセンター向け製品で攻勢に出た。同社は6月20日(米国時間)、米ニューヨークで「Transform」というパートナーやアナリスト、報道関係者を集めたイベントを開催し、「ThinkSystem」と「ThinkAgile」というブランド名を採用したデータセンター向けソリューションの提供、それらを攻勢するサーバー、ストレージ、ネットワークスイッチ、サービスなどを一挙に発表した。
将来を見据えたデータセンター構築
ThinkSystemは、新しい14のサーバ製品 (ラック/タワーサーバー×7、ブレードサーバー×2、高密度サーバー×2、ミッションクリティカル×3)、7つのストレージ製品、5つのネットワークスイッチから成る(日本での発表・発売は未定)。x86サーバーベンダーとして顧客満足度と信頼性でトップを獲得するLenovoの強みを活かし、これからのデータセンターのニーズに応える高水準の信頼性とアップタイム、優れた管理性、スケーラビリティと柔軟性を提供するエンドツーエンドのポートフォリオだ。
例えば、「ThinkSystem SR950」は、4UフォームファクタでIntel Xeonスケーラブルプロセッサを2基から8基にスケールできる。モジュラー方式が採用されており、ラックから外すことなく前面または背面から主要なサブシステムにアクセスでき、ワークロードの必要性に応じて短時間でコストをかけずにシステムをカスタマイズできる。インメモリ・データベース、大規模なトランザクションのデータベース、リアルタイム分析、ERP、CRM、または仮想サーバーのワークロードといったミッションクリティカルなワークロードに対応する。
「ThinkSystem SD530」は超高密度の2U4N(2U、4ノード)システムであり、ThinkSystem D2シャーシとの組み合わせによって、ストレージの柔軟性やIOモジュールのオプションといったラック・サーバーの扱いやすさを併せ持つ。仮想化やハイパーコンバージド・インフラストラクチャ、ソフトウエア・デファインド・ソリューションだけではなく、HPCや機械学習といった、これから要になるワークロードにも対応できるパワーとスケーラビリティを提供する。
ブレード・サーバー「ThinkSystem SN850」も、顧客の要求の拡大に応じてシステムを成長させられる優れた適応力を備える。Xeonスケーラブルプロセッサ、SAS/SATA、NVMeドライブをサポート。最新技術に対応する一方で、5年前に登場し、複数世代のXeonプロセッサをサポートするLenovo Flex Systemシャーシとの互換性が維持されている。
「ThinkSystem DS」シリーズは、コストパフォーマンスに優れるエントリーからミッドレンジのオールフラッシュまたはHybrid SANストレージのソリューション。ファイブ9s (99.999%)の高可用性を実現し、Rapid Technologyで15分とかからずにセットアップを完了できるなど、シンプルにストレージを管理できる。ファイバチャネル・スイッチ「ThinkSystem DB」シリーズは、Gen6 ファイバチャネルに対応、ミッションクリティカルなアプリケーションにも対応できるスケーラビティと柔軟性を富んだ設計になっている。
クラウドの手軽さとスピードをエンタープライズ環境に
手軽さとアジリティがパブリッククラウドの大きな魅力であるが、データセンターの全てのワークロードの必要性がパブリッククラウドで満たされるわけではない。セキュリティ、マルチテナンシー、SLA (サービス品質保証)など、様々なトレードオフが移行の妨げになる。
ThinkAgileは、x86サーバーを核にしたソフトウエア・デファインド・モデルで、管理性に優れたオンサイトIT環境にパブリッククラウドの手軽さとアジリティを取り入れるためのポートフォリオである。Nutanix、VMWare、さらにMicrosoftがパートナーになっており、 「ThinkAgile SX for Microsoft Azure Stack」ではAzureクラウド・サービスを利用できるハイブリッド・クラウドの導入が簡素化され、クラウド導入の価値実現を大幅に短縮できるという。
全てのThinkSystemサーバーには管理エンジンとしてXClarity Controllerが組み込まれる。見やすく整理されたダッシュボード型のインターフェイスを持つXClarity Administratorを通じて、ThinkSystemおよびThinkAgileインフラストラクチャを集約的に管理できる。