フェリカポケットマーケティングは6月20日、仮想通貨とFeliCa技術を連携させて、スマートフォンなどをかざすだけで仮想通貨の決済を可能とする手法を開発し、その実用性や安全性についての検証を行ったと発表した。

今回の実験では、ビットコインの秘密鍵をFeliCaの鍵あり領域(FeliCaポケット領域)に保持し、ハードウェアウォレットとして利用するとともに、決済媒体としても利用する手法を採用してシステムの開発を行ったという。

鍵秘密保持のイメージ

特に、実店舗で重要な要素となる「操作性」「安全性」「二重払いの防止(待ち時間の防止)」について重点をおいて検証を行ったとのことだ。

操作性の検証では、既存の電子マネーと同様の速度と操作感で決済を行えることが確認できたという(速度はリーダーやクライアント性能に依存)。

安全性への対応については、十分に配慮した開発を行ったとしているが、セキュリティ性能を向上させるためには、耐タンパ性が確保されたリーダーのセキュリティモジュール内に秘密鍵の取得と署名ロジックを実装し、秘密鍵情報をアプリケーション層から完全に隠蔽することが望ましいとしている。

また、処理が確定するまでに時間がかかると、ブロックチェーンの性質により二重払いのリスクが発生してしまうが、今回の手法では秘密鍵を利用するアプリケーションを一元的に管理するため、ブロードキャスト前にトランザクションの整合性検証を行うことが可能となり、二重払いのリスクを低減することができるという。

トランザクションの生成と署名のイメージ

同社は今回の検証を通じて、仮想通貨においてもかざすだけで決済が行えることを実証できたとしている。FeliCaを介在させることで二重払いリスクを低減したり、仮想通貨の特性を活かしてネットでのバリュー利用を可能にできたりするなど、双方の弱点を補完した決済ソリューションの構築が可能だという。ただし、アプリケーションにおける秘密鍵の取り扱い方法に関しては、改善の余地があるとして、引き続き技術開発を進めるとしている。

なお、検証にはビットコインを利用したとのことだ。