IDC Japanは6月6日、企業向けルータ、企業向けイーサネットスイッチ、企業向け無線LAN機器で構成する国内企業向けネットワーク機器市場における2016年の実績と予測を発表した。これによると、シスコシステムズが3つの製品分野すべてで2016年も首位となり、市場全体の2位はアライドテレシス、3位ヤマハで前年の混戦状態から一歩抜け出した状態になったという。

2016年の国内企業向けネットワーク機器市場は、前年のプラス成長から一転して4.6%減のマイナス成長に転じ、市場規模は2053億4900万円。2016年の同市場は、データセンター向けイーサネットスイッチ需要の拡大や無線LANアクセスポイントの出荷台数増加は見られたものの、全体的には市場の成熟化が改めて浮き彫りになった。

3つの製品分野のいずれも前年の市場規模を下回り、2016年の前年比成長率は企業向けイーサネットスイッチ市場がマイナス4.9%、企業向けルータ市場がマイナス3.0%、企業向け無線LAN機器市場がマイナス6.0%。

今後の国内企業向けネットワーク機器市場に関しては、市場全体の成熟化の進行に伴い大きな成長は見込みにくいものの、安定した市場であるとも推測している。国内企業向けネットワーク機器市場全体の2016年~2021年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)はマイナス0.2%で、2021年の市場規模は2036億3800万円と予測している。

国内企業向けネットワーク機器市場 支出額予測、2015年~2021年

製品分野別では、新規導入の余地が残されている企業向け無線LAN機器市場はCAGRを2.6%と予測しているほか、企業向けイーサネットスイッチ市場は、データセンター向けイーサネットスイッチ市場という成長領域を内包しつつも、CAGRはマイナス0.2%に留まると想定している。

国内企業向けネットワーク機器市場をベンダーシェアの視点から見ると、2016年も3つの製品分野すべてにおいて首位を獲得したシスコシステムズが、45.6%という高いシェアを維持。

また、国内企業向けネットワーク機器市場全体の2位以下は、2015年の混戦状態から、アライドテレシスとヤマハが一歩抜け出し、2社ともに従来の主力製品分野が好調であったことに加え、近年取り組んできた新たなソリューション開発や製品分野の開拓が、成果に結びついてきたことが背景にあると同社では分析している。

同社のコミュニケーションズ グループマネージャーである草野賢一氏は「成熟化が言われて久しい企業向けネットワーク機器市場において、いずれのベンダーも、プロダクトアウトとマーケットインの適切なバランスを保ったソリューション開発を意識すべきである。こうしたソリューション開発の好例がシスコシステムズ、アライドテレシス、ヤマハのリーダー企業3社の取り組みである。顧客のニーズを取り入れながら、その先の企業ネットワークの在り方も提案するソリューションであることが重要なポイントである」と述べている。