説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『構図は同じだけれど明るさの違う写真が2枚撮影されています!?』という質問に答えます。

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iPhoneに標準装備のカメラアプリには、HDR撮影機能が用意されています。HDRとはハイダイナミックレンジ合成の略語で、明るい部分と暗い部分それぞれの階調を残しつつ1枚の写真として表現する撮影技術を指します。原理的に白トビや黒つぶれが起こりにくく、肉眼で見た風景に近い写真になることがポイントです。

カメラアプリを利用したHDR撮影は、シャッターを切ったとき露出(明るさ/光の量)が異なる3枚の写真を撮影し、1枚に合成することで実現します。明るめの写真とほどほどの写真、暗めの写真をすばやく連写し、明るい部分から暗い部分まで露出バランスがとれた1枚の写真にまとめる処理、と言い換えるとわかりやすいでしょうか。

HDR撮影機能は、カメラアプリの左上にある「HDR」をタップするとオン/オフ/自動を選択できます。iOS 7.1以降は初期値が「自動」のため、知らず知らずのうちにHDR撮影が行われているかもしれません。

さらに、初期設定では「通常の写真」が残ります。通常の写真とは、HDRに必要な3枚の写真とは別に撮影された標準露出の写真のことで、カメラロールでは「HDR」の表示がないことで区別できます。つまり、HDR撮影が行われると、構図はそっくり同じだが明るさ/暗さの異なる写真が計2枚カメラロールに保存されることになります。

2枚の写真のうちどちらがいいかは好みの問題ですから、見比べて不要と感じたほうを削除すればいいでしょう。『設定』→「写真とカメラ」を開き、「通常の写真を残す」スイッチをオフ(緑→白)にすれば、通常の写真を残さない設定にすることもできます。ただし、HDR撮影では動きの大きい被写体はブレやすいく、シーンによっては非HDRのほうが印象的に仕上がることもありますから、通常の写真を残す設定のほうが無難かもしれません。

「通常の写真を残す」スイッチをオフにして、HDR撮影時に標準露出の写真を残さない設定にすれば、構図は同じだけれど明るさの違う写真が2枚撮影されることはなくなります