前述の音声デバイスは、どちらかというとApple TVと同じカテゴライズとなるだろう。さすがにウェアラブルには当てはまらないからだ。

もしも、今後、よりウェアラブルというカテゴリが顕在化されていくとすれば、新たな製品が追加されることも考えられる。

たとえば、既存のApple Pencilについて、iPad Proとの組み合わせ以外の利用方法が追加されたり、こちらも噂されているメガネ型デバイスで拡張現実(AR)活用を促進させることも考えられる。

もう少し俯瞰してみると、Apple Watchは将来、iPhoneに取って代わる存在にもなり得る可能性も指摘できよう。Android Wear 2.0をサポートするハードウェアがそうであるように、単体でのLTE通信を実現し、処理性能とバッテリー持続時間が飛躍的に伸びれば、現在のスマートフォンの役割をスマートウォッチが引継ぐことができる。メガネや手の平サイズ、壁など、必要に応じて好きなサイズのディスプレイを使って操作する、新しいコンピューティングのスタイルを実現する、「ホストコンピュータ」になることが考えられるのだ。

それだけに、この「ウェアラブル」というカテゴリをAppleがどう育てていくか、今後も注目していきたいところである。

松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura