Tim Cook氏は、次のiPhoneの噂が売上を抑制しているという考えを示した。しかしその見解について、もう少し詳しく見ていくべきだと考える。そこで、iPhone低迷について、3つの理由を改めてまとめておきたい。

まず1つ目に、2016年を通じた売上高の下落傾向は、オーガニックなものだ、という見方だ。

Appleは2014年にiPhone 6・iPhone 6 Plusを登場させた。それまで4インチだったiPhoneを、4.7インチ、5.5インチに巨大化させた初めてのシリーズだった。同時に、中国市場への取り組みを強化したタイミングが重なったことで、中国市場が一気に花開いた。2015年第2四半期(2015年1~3月)の決算を見てみると、中国市場は前年同期比で71%もの成長を遂げたことからも、その爆発的なヒットであったことが分かる。しかしその翌年、2016年第2四半期決算では-26%、さらに今回の2017年第2四半期決算で-14%と、下落傾向が続いた。それでもまだ、iPhone 6発売前の2014年第2四半期に比べて15%多い数字を保っている。

下落傾向は、急成長に対する急激な調整と見ることができる。ただし、次の起爆剤となり得るものが必要なことも事実だ。

2つ目の理由、iPhone 7は魅力的ではない?というのがそれだ。iPhone 6s、iPhone 7が、iPhone 6ユーザーにとって、買い換えを急ぐ対象になっていない、ということである。

Tim Cook氏はインタビューの中で、中国市場の人々は、より新しく優れたガジェットを買い求める傾向が強い、と発言している。そのため、スマートフォンであれば大画面が良いし、より高い性能や機能、デザインの良さが好まれるというのだ。

この説明から考えると、iPhoneのここ3シーズンの低迷は自明だ。iPhone 7は、爆発的に売れたiPhone 6と、カラーこそ追加されているものの、デザインに大きな違いはなく、むしろ若干厚くなったくらいで、「より新しく、優れたガジェット」として見られていない可能性がある。実際のところ、これ以上iPhoneの画面サイズを拡大させる必要はないと考えているが、同じデザインを3世代踏襲していることで、メジャーバージョンアップだったはずのiPhone 7が、大きな買替え需要を喚起できていないのだ。