最後は機能だ。ここではパイオニアに軍配が上がる。現段階でわかっている限り、シマノの製品には、パイオニアが開発したフォースベクトルはなく、計測・表示する情報量はパイオニアのほうが多いからだ。

ペダリングモニターシステムの特徴となるフォースベクトル。ペダルをこいでいない状態(左)とこいだ状態(右)。どの方向にどれだけの力がかかっているかを把握でき、ペダルを踏んだときのパワーが有効に働いているかを知る手がかりとなる

総合すると、価格は同じ、機能ではパイオニアが勝るが、プロモーションの潜在能力を見たときのシマノの存在は脅威になると考えられるのだ。

シマノ参入は歓迎

当のパイオニアはシマノ参入をどう思っているのか。パイオニアの碓井氏に聞くと意外な答えが返ってきた。

「シマノさんの参入は歓迎したいです」

碓井氏の考えは次のようなものだ。シマノがパワーメーターを出すのは、業界最大手の会社がその価値を認めたということであり、パワーメーターをまだ取り付けていない人への訴えかけになる。市場開拓の強力な後押しになるとし、歓迎しているのだ。

技術面でも、自信があるという。微弱な電気信号をアルゴリズムで解析する、そのアルゴリズム作りがパワーメーターの一番の技術であり、様々な実験を重ね開発を続けてきた。これらのことから、少なくとも直近はネガティブな見方をしていない。

しかし、長期的に見ればどうか。シマノの存在はやはり大きい。長期的にはお客が取られてしまうのではないか。

そう投げかけても、碓井氏はたじろがない。パイオニアには先行者メリットが多分にあるという。碓井氏の話を聞けば、パイオニアの牙城は簡単には落とせそうにないと思えてくるのだ。