前述のバッテリーの件にも通じることだが、GoProの製品は基本的にアクションカメラ「HERO」シリーズを中心にまわっている。Karmaも、あくまでHERO5で空撮するための"マウント"という位置づけ。純正バックパック「Seeker」に、手持ちスタビライザーKarma Grip、動画編集アプリQuikもそうだが、すべてのプロダクトがHEROの楽しみ方を広げるために存在する。

正直、この考え方はちょっともったいないのでは? と考えていた時期もあった。KarmaはHERO以外のカメラを取り付けられたらもっと多くの人が興味を持つだろうし、Karma Gripもそれ自体が優秀なスタビライザーなので、HEROありきでなければ活躍の場がさらに増えそうだ。

Karma

ただ今回の取材で、HEROという整備された一本道を歩く良さがよくわかった。

たとえば、筆者はiPhoneユーザーだが、使っている音楽プレーヤーはAndroid OSが入っている。20代の若者して恥じるべきなのかもしれないが、実はiPhoneを使い倒した後に音楽プレーヤーを触ると、Android OSがうまく操作できない。

逆もあって、右手で音楽プレーヤーを操作しているときに左手でiPhoneを取り出すと、iPhoneのロック解除でさえもたついたりする。どちらのOSが悪いというわけではなく(あえて言うなら筆者の頭が悪い)、使うデバイスにあわせて頭を切り替えるのに、脳内のメモリがフルで使われてしまう。

何が言いたいかというと、GoPro製品はHEROのカメラに慣れれば他の製品もだいたい使いこなせるように設計されているので、操作であわてたり、いちいち説明書を読んだり、という時間のロスがない。GoPro製品はユーザーの頭の中に余計な分岐を提案しないのだ。HEROが示す一本道を歩いていればいいだけなので、残りの脳内メモリで、目の前のアクティビティや景色により没頭できる。

いくら素晴らしいスペックを備えたものでも、それを使ってハッピーになれなければ意味がない。アクティビティを彩る製品を世に送り出してきたGoProの思想そのものが、HEROでありKarmaに表れているのだと強く感じた。