Adobeの写真編集ソフト「Photoshop Lightroom」で撮影データを劇的に改善しようというこの企画。プロカメラマンの高嶋一成氏が、RAW現像の基本テクニックからマジック級の裏技まで惜しみなく紹介します。

前回仕上げたトマトの画像。画像全体の調整はできたが、3つ写っているトマトのうち1つだけ青いのが気になる。どうせなら、3つとも真っ赤に完熟させてみようじゃないか。

【ビフォー】熟したトマトの赤みはよいが、1つだけ不自然に青い

【アフター】真っ赤な完熟トマトが3つ揃った!

今回のレタッチは、調整と言うよりは画像加工となるため、Photoshopなどの画像加工ソフトを使うとより簡単に仕上げられるのだが、調整パラメーターはLightroomのほうが扱いやすくできている (Photoshop内のCamera Rawフィルターも同様)。Lightroomである程度まで仕上げてから、Photoshopで細部を詰めていくと、よりスムーズに作業が進むだろう。

では最初に、青いトマトを赤くする調整を行うために、「補正ブラシ」を使用する。「補正ブラシ」はマスクを作成して部分的な補正を行うもので、ツールドロワーで設定する。マスクは複数作成でき、不要なマスクはピンを選択して消去できる。

「補正ブラシ」アイコンをクリックすると、下図のようなツールドロワーが表示される

補正ブラシのツールドロワー

画像表示領域の下にある「選択したマスクオーバーレイを表示」にチェックを入れ、マスクを作成したい部分をドラッグするとピンが表示される。マスクの範囲がわかりにくい場合は、マスクオーバーレイのチェックを外し「露光量」を極端に調整すると見やすくなる

境界に近い部分は「自動マスク」にチェックを入れ、ブラシの「サイズ」を変更しながら調整する

マスクの範囲設定が完了

「補正ブラシ」はフリーハンドでの作業が主となるので、使い慣れるのに時間がかかるかもしれないが、「段階フィルター」や「円形フィルター」といった補正の幅を広げてくれる付加機能も搭載されている。また、[shift] キーを押しながらカーソルを動かすことで直線が引けたり、[alt] キーや [option] キーを使ったショートカットオプションもあるので色々と試してもらいたい。

はみ出した選択範囲を消すには、ブラシを「消去」にして、左カラム上方の「ナビゲータ」で表示を拡大すると作業しやすい

はみ出した選択範囲を消去中

赤いトマトにカーソルを合わせ「ヒストグラム」のRGB値を参照する

次に、カラーピッカーを表示する。ここでおおよそ近い色を選択してから「色温度」や「色かぶり補正」で微調整すると色を合わせやすい

色を確定させたら拡大表示してエッジ部分を確認する。エッジが際立ちすぎている部分は、「自動マスク」のチェックを外し、「流量」の値を下げてエッジに沿うように描いていく

エッジ部分のカラーを変更する場合は、ツールドロワーの「マスク」を「新規」として新規マスクを重ねられる。複数のマスクを作成した場合は、ピンをクリックすることで調整するマスクを再選択できる

色の乗りすぎたハイライト部分のマスクを消去して色の変更は完成

奥に見える赤いテープは「スポット修正」を使用する。ドラッグしながら形状を合わせていく。この画像の場合、白いテープを延長させ、葉の緑と白く抜けた部分を意識しながら修復すると、自然な見た目になった。

このような部分の補正には、「スポット修正」を使用するとなじませやすい

「スポット修正」は主に、ゴミや不要なものを消去する修正に使用する。修復ソースは自動で選択されるが、ピンを移動させることでソースを変更できる

ブラシはデフォルトで「修復」となっているが、今回のような場合は「コピースタンプ」に切り替えると作業しやすい。1回の作業で行うのは困難なので、「サイズ」や「ぼかし」を変更しながら複数のポイントで修復する