ちなみに同社は、美容師やセラピストの求人情報の領域で、掲載求人数・登録者数が国内ナンバーワンだという。とはいえ、事業のメインは日本国内だ。それがなぜフィリピンでのCSVを推進し始めたのか……。

前出の植田さんは、東南アジア諸国の貧困問題を知り、継続的にそれを解消するための事業を立ち上げられないかと考え、縁があったフィリピンにおけるCSVを模索し、推進し始めた。

なぜ、フィリピンかというと、同国は経済成長が著しく、新規事業が継続する余地がまだまだあるため。言い換えると、日本はすでに多くの企業が存在し、新たに事業を立ち上げるにしても、市場はすでに飽和状態ということがほとんどだ。新規事業を推進しても、長続きしないことが十分に考えられる。

一方、フィリピンは、美容に対しての意識もグングンと伸びているという。美容産業が育つ可能性は十分にある。

植田さんは、そうしたフィリピンの情勢に着目した。現地の人が必要としているニーズを、実際に街を練り歩いたり、多くのショップを訪れたりして探し出した。結果、美容師・セラピストの養成という事業にたどりついた。

これは、そういった領域の求人情報を提供している同社にとって好都合。さらに、現地で“カット”を教えている指導者と偶然にも出会い、同社の意図に賛同してもらったことも、事業推進の大きなきっかけになったという。

日本の桜は見頃が過ぎつつあるが、リジョブ社内の打ち合わせ室は、造花ながら“春爛漫”

現地の雇用創出をにらむ

そして何よりも、現地での雇用を創出すること、貧困層を減らすことがフィリピンでCSVを行うことの大きな原動力になったことはいうまでもない。そして、2017年3月までには83人がセラピストとなり、33人が就職したという。

植田さんはまたすぐにフィリピンへ渡航し、現地に常駐するという。これは、同地での事業化が現実味を帯び、その準備を進めるためだ。咲くらプロジェクトという名のとおり、フィリピンで“花開く”のはもう間もなくだろう。