IDC Japanは3月16日、2016年第4四半期(10月~12月)および2016年通年(1月~12月)の国内外付型エンタープライズストレージシステムの支出額実績と売上額を発表した。これによると、2016年通年における国内外付型エンタープライズストレージシステム売上額は1739億9800万円であり、メーカー別の上位5社は日立製作所(シェア19.7%)、富士通(同17.5%)、デルとEMCが統合したデルテクノロジーズ(同15.9%)、IBM(同9.9%)、NEC(同7.5%)となった。

国内外付型エンタープライズストレージシステム市場の支出額推移(2010年~2016年)

外付型エンタープライズストレージシステムの支出額は、メーカーの売上額にマージンを加算した額。2016年通年の支出額は2015年と比べて8.9%減の1830億5000万円、2016年第4四半期の支出額は2015年第4四半期と比べて16.1%減の425億500万円であり、その内訳はメインフレーム向けが同51.3%減の47億9000万円、オープンシステム向けが同7.7%減の377億1500万円だった。メインフレーム向けは、前年同期の金融向け大型案件の反動が出たほか、オープンシステム向けは、ハイエンドとミッドレンジの落ち込みが影響したという。

2016年通年における内訳は、メインフレーム向けが2015年と比べて27.5%減の243億4500万円、オープンシステム向けが同5.2%減の1587億500万円だった。前年の2015年はメインフレームの大型更新期に当たり、メインフレーム向け支出額は前年比27.2%と高い成長を見せたが、2016年はその反動が出たという。オープンシステム向けは、通年ではハイエンド/ミッドレンジ/ローエンドの3分野ともマイナス成長になったことが影響した。

2016年の国内外付型エンタープライズストレージシステムでは、HDDからフラッシュへと搭載メディアの移行が進んだという。同年の支出額の中で、オールフラッシュアレイ(AFA)は前年比84.3%増の168億5900、ハイブリッドフラッシュアレイ(HFA)は同7.7%増の582億3500万円だったが、オールHDDアレイは同21.6%減の1079億5600万円とマイナス成長だった。

この結果、2016年の支出額に占めるフラッシュストレージ(AFAとHFAの合計)比率は、前年の31.4%から41.0%へ上昇したとのこと。AFAは大手ベンダーのビジネスが本格的に立ち上がったことに加え、重複排除/圧縮機能やストレージサービス機能の追加などで、特定用向けの特殊なストレージから汎用ストレージへの移行が進んでいるという。

同社のエンタープライズインフラストラクチャ/PCs グループディレクターである森山正秋氏は、「2016年の外付型エンタープライズストレージシステムは前年の反動もあり市場が縮小する中で、テクノロジーのシフトが進んだ。HDDからフラッシュストレージへのシフトはその代表である。ストレージベンダーは、ストレージ市場におけるテクノロジーの変化をビジネス機会に生かす能力によって、そのシェアが大きく変わってくる」と分析している。