日本テラデータは2月28日、2017年1月1日付でアナリティクス・ビジネス・コンサルティング(ABC)本部を設立したと発表した。

この組織はグローバル共通の組織として設けられ、データサイエンティストと金融、製造、流通、通信等の各業種に特化したインダストリー・コンサルタントによるコンサルティングサービスを提供。デジタライゼーションの本格化に向け、データの利活用の需要が高まってきているなか、顧客のビッグデータ・プロジェクトを上流行程からサポートし。新たなビジネスモデルの創出およびビジネスモデルの最適化を支援する。

日本テラデータ 執行役員 アナリティクス・ビジネス・コンサルティング 本部 本部長 森英人氏

この部門のトップである執行役員 アナリティクス・ビジネス・コンサルティング 本部 本部長には、元IBMの森英人氏が就任。部門の規模は1月1日現在で30名ほどだが、人員は数カ月単位で拡大していくという。

森氏はABC本部設立の意義について、「企業の投資は、効率化優先の定型業務と、他社と差別化する先進ビジネスモデルに二極化しており、差別化する分野には、ベンダーソリューションを利用し徹底的に投資するが、定型業務にはOSSを利用するなど投資の仕方がはっきりしている。差別化のためのベンダーソリューションはSalesforceなどの機能中心のアプローチと、データ中心のアプローチがあるが、テラデータはデータ中心だ。アナリティクス活用においては、これまでは実装部分に注目され、テラデータもこの部分を行ってきたが、お客様にとっては、課題が解決されて、ビジネスに取り込まれないと意味がない。そのためにABCは、ビジネス・コンサルティングとデータ・サイエンスの部分をサポートする。これによって、一気通貫のサービスをお客様に提供できる」と説明した。

森氏は、企業の投資は、効率化優先の定型業務(Commodity Technology)と、他社と差別化する先進ビジネスモデル(Advanced Technology)に二極化。Advanced Technologyには機能中心のアプローチと、データ中心のアプローチがあるとした

森氏は、ABCが提供するビジネス・コンサルティングのもっとも特徴的な部分は、「BUSINESS VALUE FRAMEWORK」(BVF)だとした。BVFは、金融、小売、製造、通信、輸送など、業種別のユースケース集だ。

「BUSINESS VALUE FRAMEWORK」

「BUSINESS VALUE FRAMEWORK」のユースケース

森氏は、「BUSINESS VALUE FRAMEWORKは単なる事例集ではなく、非常に実践的で、過去のワークショップでは何を実施し、そのときのインとアウトは何だったかや、ロードマップを備え、それにしたがって経営層にアドバイスできるなど、さまざまなノウハウが詰め込まれている。BUSINESS VALUE FRAMEWORKがABCでもっとも特徴的で、他社と差別化する部分だ。これができるのは、テラデータがこれまで35年、データ分析の知見を積み上げてきたからだ」とBVFのメリットを強調した。

また、ABCのもう1つの大きな特徴は、RACE(Rapid Analytic Consulting Engagement)だという。RACEは、同社が昨年の9月にグローバルで発表したのもので、テクノロジーに依存しないアジャイルなメソドロジー(方法論)。RACEは、BVFを核として構成したもので、業種・業務別に整備。顧客企業に最も適した、価値あるアナリティクス・ソリューションをアドバイスする。RACEは、従来数カ月を要したビジネス・コンサルティングを6~10週間に短縮できるというスピードが特徴だという。

具体的には、BUSINESS VALUE FRAMEWORKを中心に、顧客に関連ユースケースを徹底的に紹介するところから開始し、その中で適応できる部分を見つけ、そこからコンサルティングを開始、どうカスマイズしていくかを検討していくという。

森氏はRACEについて、「コンサルティングのアジャイル手法だ」と語った。

アナリティクス・ビジネス・コンサルティング(ABC)の3つの要素

日本テラデータ 代表取締役社長 吉川幸彦氏

また、ABCを設立した背景について、同社 代表取締役社長 吉川幸彦氏は、「これまでテラデータはデータを1カ所集めて分析し、どうビジネスに適用するかを考えてきたが、2011年からは買収により、オープンソースとの融合に取り組んできた。さらに、この2年間は、ビジネスにダイレクトな成果として活かしていくために、コンサルティング事業を強化してきた。今後は、さらにコンサルティング事業を加速していかなければならない。そのためにアナリティクス・ビジネス・コンサルティング本部を設立した。今後は、ビジネス・アナリティス・ソリューション、エコシステム・アーキテクチャ・コンサルティング、ハイブリッド・クラウド・ソリューションの3つの柱で、お客様に役立つアナリティクスを提供していく。一番重要な点は、ビジネスにいかに貢献し、成果を挙げるかだ」と語った。