リクルートテクノロジーズは2月22日、イスラエルのinfuse Locationと技術協力し、屋内測位技術を利用する共同検証プロジェクトを開始したと発表した。新プロジェクトは、O2Oマーケティングや屋内ナビゲーションでの利用において注目度が高まる屋内測位技術の中でも、将来的にリクルートが持つ多様なビジネス領域に応用できるよう、実利用を見据えたサービス開発の可能性を探ることを目的としている。

両社が開発する新たな位置測位手法は、Wi-Fiや地磁気、ジャイロセンサ、GPSから得たデータを総合的に利用し、屋内の位置情報を高精度に測定するもの。既存の手法の欠点を多様な技術の組み合わせにより解消し、特別な設置デバイスを用意することなく、事前測位のみの簡易的なオペレーションでありつつ、Wi-Fiや地磁気を利用する手法と比べ、30%の精度向上を実現している。

同プロジェクトは、同社のビッグデータ部が推進し、現在は同社グループが提供する多様なサービスにおいてビッグデータ利用を推進するため、多様なAPI群を開発している。同部ではさらなる先進性を獲得し、同社グループに対して迅速に役立つ機能を開発するため、同社のアドバンスドテクノロジーラボ(ATL)と共同で、アメリカやイスラエルに定期的に赴き、スタートアップ企業との幅広いオープン・イノベーションを推進しているという。

今回、この取り組みの一環として、技術の汎用性や高速な技術検証が容易である点を理由に、イスラエル工科大学出身のエンジニア2名が立ち上げたスタートアップ企業であるinfuseとの共同開発を開始する。

同社は、屋内測位技術の利用方法における実践的な検証を目指しており、利用シーンとしては、主に複数フロアの使用や大型の屋内施設を貸切開催する大規模イベントを想定。大規模イベント施設・オフィス・ショッピングモールなど計6会場、合計10回実施した検証では、平均誤差3m程度で屋内位置情報を把握できることを確認したという。

位置側位のデモ画面

ナビゲーションのデモ画面

主な機能の特徴として「現在地の正確な特定と目的地までのガイドが可能」「極小サイズの領域判別による高精度なターゲティングの実現」「オペレーション・コスト削減による実用性向上」の3点を挙げる。現在地の特定とガイドについては、ユーザーの階やフロア内の詳細位置の把握による高精度な位置情報を、実測値で平均3mの誤差で特定を可能としている。

高精度のターゲティングに関しては、最小3m四方の任意形状・極小サイズのジオフェンス(特定のエリアに設定する、多様な形状・大きさの仮想境界線で囲んだエリア)を作成できる。実用性の向上については、事前測位のみ必要であり、Wi-Fi環境が整備されていればビーコンなどのデバイス設置は不要で、精度の高い位置測位が可能だという。

想定利用事例としては、合同説明会など展示会イベント内でのナビゲーションと、来場者情報の収集を挙げており、ナビゲーションについては屋内イベント会場内で自分の場所が確認でき、地図アプリのように検索ボックスに行きたいブースの場所を入力するとルートを表示する。また、ブースへの誘導を効率的に移動させることで、会場内全体の回遊率向上につながるとしている。

来場者情報の収集に関しては、屋内においてブース形状に合わせたジオフェンスを張り、進入・滞在・離脱を検知。その情報を基に利用者へそのブースの情報などプッシュ通知を送ることも可能。さらに、リアルタイムに移動ログを把握することで、会場内の利用者の関心エリアなどの情報収集を可能とし、利用者のイベント内とWebサイト内の行動傾向を掛け合わせることで、リアルタイムな運営改善やWebサイトのサービス改善につながるという。