「わくわく金曜日」命名の理由

――土曜日に重なった祝日を金曜の休業に振り替える「わくわく金曜日」制度、ニュース記事を掲載したところ反響がありました。内容は堅実ですが、名前はとても親しみやすい印象です。命名の理由は?

鈴木氏: コンサル業というのは、どうしても外資系の大企業のイメージが強いようです。そうした先入観が社会的にある中で「プレミアムフライデー」のような横文字の名称を使っても、いまいち響きにくいのではないか、もっと親しみやすい方が浸透するのではと思って「わくわく金曜日」という案を出しました。実を言うと少しふざけて出した案だったんですが、採用されまして(笑)

田島氏: たとえば「弊社ではスーパープレミアムフライデーを実施します」というような伝え方をすると、クライアントに「コンサルがよくわからないことを言い出した」と受け取られてしまうかもしれません(笑)

それなら、「わくわく金曜日はじめます」とお伝えしたほうが、お客様にも「それはわくわくするね!」とすぐ理解してもらえるのではないか、と考えたんです。実際、先週クライアントと会食した際に、「わく金、おもしろいね」と大手企業の方から想定通りの反応をしていただけました。

ただ、この制度を決めた後、各自の予定を見たところ、土曜に祝日がある週は月曜に有休を入れて、自主的に三連休とする予定の人が複数人いました。こちらから設定しなくても自ら休暇を設定して業務を回しているのか、といい意味で肩すかしでした(笑)

働き方改革の推進、業績に影響は?

――プレミアムフライデー、わくわく金曜日といった施策を経て、御社の業績に何か変化はありましたか?

田島氏: KPIを定めて数値を取ってはいないものの、全体としてむしろ結果はあがっていると考えています。

たとえば、弊社ではリモートオフィスを導入していて、私は朝方なので、あさ6時から始業して14時~15時頃退社するのが体に合っているのですが、早い時間から仕事をしても、オフィスに残っている人がいる限り帰れない、となると、どうしても不満も生まれてしまいます。

もちろん、社員数が増えれば増えるほどフリーライダーに転じてしまう人は増えてくるとは思いますが、社員ひとりひとりが効率的に働けることそれ自体は大変素晴らしいことだと思います。

――御社の施策のみならず、働き方改革にまつわる取り組みに対して、「実現は不可能では」「その分業務が回らなくなる」という所感がSNS上で見受けられました。柔軟な働き方を取り入れて、実際のところ何かデメリットはありましたか?

鈴木氏: デメリットとは少し違うかもしれませんが、弊社が大企業ではないから回っている部分はあると思います。規模が大きくなると、先ほど田島の言及したフリーライダーが現れた結果、穴埋めのためにデキる人ほど短時間に高い成果をあげないといけなくなる懸念があります。

田島氏: また、自由度が高いということは、裏を返すと大変厳しいことです。高いレベルでのセルフマネジメントが求められ、成果を上げなくてはなりません。また、1人ひとりの成果を確認するプロセスを用意する必要があり、評価する側の負担が増えます。こうしたことも、デメリットと言えばそうかもしれません。

業務でのFAX廃止、クラウドを利用

――休日が増えるとその分稼働時間は減るため、業務の効率化を進めておられると思いますが、具体的な例などあれば教えてください。

田島氏: BOXなどクラウドサービスの利用や社内メールの廃止(グループウェアの導入)などさまざまにありますが、原則FAXでのやりとりを行っていないのが大きなトピックかもしれません。

――FAXを使っている企業、まだ少なくない印象ですが、特にトラブルはなかったのでしょうか?

田島氏: 確かに、FAXでないと取り引きしないと拒否されたこともありましたが、「非効率的な手段をとってまで取り引きする意味がある相手先か」と検討して、もう取り引きする必要はないと判断したケースもありましたし、交渉したらメールでのやりとりに対応していただけたこともありました。

FAXの件も、先ほどの評価のこともそうですが、「誰に合わせるか」というのは国によって大きく異なります。日本人はセーフティネットを大事にする風潮があって、それは非常に良いことだと思いますが、ともすると一番昔からあるものに盲目的にあわせることになりがちなので、そこは廃していってもよいのではないでしょうか。

「オフィス」の概念を変えていく

――今後、社員の働き方で変えていきたい領域、あるいは方針などあれば教えてください。

田島氏: 弊社ではグローバルで行っているプロジェクトもいくつかありまして、海外の方とやりとりしていると、彼らの中で「オフィス」という概念がなくなりつつあるのを感じます。アメリカでは、100人規模の企業でもオフィスは構えていない、というところもあるようです。

そこで、弊社では今後「オフィスとは何か」というテーマを考えていきたいと考えています。まずは「デジタルアウトドア」というコンセプトで、3月中に弊社内のインテリアを一新します。いわゆる職員室のような無機質な空間、行かないとならない場ではなくて、社員にとってテンションが上がり、気持ちよく情報のインプット/アウトプットができる場となるように作り変えるつもりです。

――ありがとうございました。