レシートが完全に電子化される日は近いのかもしれない。東芝テックは経済産業省の委託事業で3月1日から12日までの期間、電子レシートシステム運用の実証実験を開始。KDDIのシステムを用いた、利用者が制御可能な個人情報保護と電子レシートがもたらすメリットの両立を目指す。

実証実験は流通システムやPOSレジ、複合機やオフィス機器などを展開する東芝テックが経済産業省からの委託事業として行うもので、福岡市に本社を構えるトライアルカンパニーのメガセンタートライアル新宮店で行われる。

システム概要(同社資料より)

スマートレシートサービス公式サイト

東芝テックの「スマートレシートサービス」は、スマートフォンアプリに表示されるバーコードをレジで読み取ることで電子化されたレシートデータが提供される。スマートフォンアプリには、電子レシートの項目別の自動振り分けや購入履歴の確認、クーポンやキャンペーンといったお得なメリットも受け取れる。支出を確認したり家計簿のためのデータ保管と、紙のレシートの苦労から解放される。非常に便利でお得なレシートデータの活用だが、項目数や頻度も高いデータ活用。規模が大きくなるにつれて個人情報の保護が一層重要になってくる。

KDDI総合研究所が開発するプライバシーポリシーマネージャー(PPM)は、個人情報の流通制御や利用同意支援、マスク処理、個人情報提供状況の可視化など消費者自身が定めたポリシーに応じてデータのやりとりを可能にするシステム。HEMS(Home Energy Management System)などの電力管理システムにおける各家庭での電力データ管理など、大規模なトライアルを重ねており、消費者起点の情報データ活用を進めている。

3月に行われる実証実験では、POSデータをもとに消費者が購買情報のマスク設定などのポリシーを策定、サービス提供やアンケートによるポイント還元などを受ける流れを実際に運用し、課題を整理する。消費者は、購買情報の制御を自らの手で行いながらポイントなどの付加価値が得られ、事業者は明確に提供者の了解を得られるメリットやコストを抑えた電子レシートシステムの構築が可能になる。なお、POSのレシートデータをそのまま電子化し個人情報機能を搭載する実証実験は、世界初になるという。