富士通研究所は1月26日、無線LANサービス・エリアの通信速度を向上させるためとして、LTEと無線LANの接続制御技術を開発したと発表した。エリア内端末の通信経路を一括で自動設定することで、通信速度を平均で約2倍に向上するという。

新技術は、端末に専用のアプリケーションをインストールして制御サーバ上の接続制御機能と通信しつつ、複数端末の接続を同時に変更した場合の通信速度を予測し、その結果に基づいて無線LANサービス・エリアに存在する複数端末の通信経路を一括で自動設定を可能としている。

特徴として「利用可能な無線リソース量推定技術」「無線通信経路最適化技術」の2点を挙げている。

利用可能な無線リソース量推定技術は、専用アプリケーションを端末にインストールすることで、サーバから各端末の制御を行うが、インストールしていない端末も無線LANやLTEの無線リソースを使用しているため、制御端末の利用できる無線リソース量は変動する。

そのため、制御端末にインストールした専用アプリケーションが現在の通信速度と無線品質情報を収集し、制御サーバ上の接続制御機能に通知。接続制御機能は無線品質情報から利用可能な無線リソースが十分ある場合の通信速度を計算し、実際の通信速度と比較することで利用可能な無線リソース量を推定する。これにより、その場の状況に応じた接続制御ができるという。

無線通信経路最適化技術は、接続制御機能では無線LANサービスエリア内の各制御端末が通信経路として無線LANとLTEのいずれかを利用する各振り分けパターンについて、利用可能無線リソース量の情報と制御端末の無線品質情報を用いて、各端末の予測通信速度を計算。

その結果から、エリア内の総通信速度が最大となる通信経路の振り分けパターンを選択し、そのパターンに対応する各端末の通信経路が制御サーバ上の接続制御機能から各制御端末の専用アプリケーションに通知されて、通信経路の切り替えを実施するとしている。

新開発の接続制御技術

同技術の検証として、通信キャリアのLTEネットワークの通信エリア内に無線LANアクセス・ポイントを設置し、無線LANの通信エリア内に複数の端末を配置して従来技術を適用した場合と、開発した接続制御技術を適用した場合の通信速度を、それぞれ測定した。

端末の配置を変えながら測定を行なった結果、新技術では従来の接続制御技術と比較して、通信速度を平均で約2倍に向上できることを確認。同社は同技術を利用したより大規模な実証実験を行なって安定性を向上させるとともに、2018年度の実用化を目指すという。

今後、第5世代移動通信方式向けの無線アクセス技術も選択可能とする機能拡張を進め、2020年度以降の実用化を目指す。