スマートフォンは、携帯電話とコンピュータ両方の顔を持ちます。ですから、スペック表を見れば専門用語のオンパレード……これではおいそれと比較できません。このコーナーでは、そんなスマートフォン関連の用語をやさしく解説します。今回は「DSDS」についてです。

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DSDSは「Dual SIM/Dual Standby」の略語であり、装着した2枚のSIMで同時に待ち受けできる機構を指します。数年前から中国などアジアで利用されている端末には見られた機能ですが、いわゆる格安SIMの普及と前後し、3Gと4Gのデュアル利用が可能なタイプのDSDS対応端末が登場してから脚光を浴びた経緯があります。

2枚のSIMを装着できるスマートフォンは以前から存在し、地域ごとの通信環境に大きな差がある中国などで利用されてきました。ただし、2枚のSIMを同時に待ち受けできない「Dual SIM/Single Standby(DSSS)」であることが多く、使うSIMを切り替えるときにはシステムを再起動するなどの手続きを踏む必要がありました。DSDS対応の端末はSoCやモデムがデュアルSIMをサポートしているため、そのような手間は必要ありません。

DSDS対応の端末では、異なる2つの電話番号を同時に待ち受けできます。1枚は音声通話が安いSIM、もう1枚はデータ通信が安いSIMと、性格が異なるプランを1台のスマートフォンで使いわけできるメリットもあります。プライベート用と仕事用の電話を1台にまとめるなど、"2台持ち"の解消にも役立ちます。

なお、DSDSでは2枚のSIMのうちどちらか一方に電話(音声通話の着信)があったとき、もう1枚のSIMでは通信できなくなります。どちらかのSIMに着信があると、もう一方のSIMはデータ通信できなくなるため、通話しながらWEBブラウジングするような使いかたはできません。

音声通話中にもう一方のSIMを使いデータ通信できる「Dual SIM/Dual Active(DSDA)」は、海外の端末では存在しますが、2017年1月時点で国内向け端末は存在しません。

2枚のSIMを装着し2つの電話番号を同時に待ち受けできる、DSDS対応端末が増えています