Appleは5日、12月5日から11日までのコンピュータサイエンス教育週間に合わせ、コンピュータプログラミングの基礎を学べる無料のジュニア向けワークショップ「Hour of Code(コーディングの時間)」をApple Store各店で実施した。本稿ではApple 表参道で開催されたワークショップの様子をお届けする。
Hour of Codeは、コンピュータサイエンス教育普及を推進するNPO団体であるCode.orgが提唱している運動で、180カ国以上の生徒数千万人が参加している。Hour of Codeのイベントは誰でもどこでも開催することができ、この運動を以前より支援したきたAppleは、世界規模で毎年イベントやワークショップを開催している。今回のワークショップは6歳以上を対象に実施され、筆者が取材した回には、学校の授業を終えた小学生9名が参加した。
ワークショップではiPadを利用し、Code.orgが用意した教材の問題を解いていくことで、プログラミングの基礎を1時間で習得できるという内容になっている。シンプルなドラッグ&ドロップの操作で学んでいけるのが特徴だ。
今回の教材では来年3月に公開されるディズニーのアニメーション映画『モアナと伝説の海』のキャラクターであるモアナとマウイをフィーチャー。彼女らが乗った双胴船の前に開かれた正方形の海の道を進み、円まで動かしていく。プログラムの構築は例によって、命令が書かれたブロックをつなぎ合わせるというものだ。
「前に進む」「左を向く」「右を向く」といった基本的な動きが書かれたブロックを組み合わせて作業を進めるのだが、始まる前に参加者全員で視聴したチュートリアルムービーの字幕の流れが非常に早いのが、ちょっと気になった。子供たちがちゃんと読めたかどうか心配になったが、意外とみんなスイスイと作業を進めていく。今回の参加者は、とても要領が良く、時間内で全問を解いてしまった子もいた。日頃から、コードを書くのに慣れ親しんでいるのかもしれない。スタッフのヒントも軽いもので、指示するのではなく補助に入るという程度。2020年に必修となるとされているプログラミング教育については、親御さんも熱心に情報収集し、プログラミングを学ぶことの意味を一家で考えているような印象を受けた。集中力を切らさずに取り組む姿もまた印象的で、やらされているのではなく、本当に好きな子たちが集まってきているのだなと感じた。
30分ほど作業を続けたのち、ここでスペシャルゲストが登場。昨年と同じく、バックルームから、映画『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のキャラクターである球型のドロイド・BB-8が出てきた。「BB-8 by スフィロ」はスフィロが販売するスマートトイで、バンド状のコントローラー「フォースバンド by スフィロ」により、ジェスチャーで操作できる。
実はこのBB-8も、基本的には今日解いてきた問題と同じ仕組みで動いていると、スタッフから解説が。なるほど、腕を伸ばすと前へ進む、戻すと後退、差し出した方向により右左折するといったところは、そのままワークショップで解いてきた問題と置き換えることができる。このような類推が働くようになると、プログラミングでやれることも一気に広がっていく。やれることが増えることで、また学習意欲も湧く。上手くやれるから好きになれるのだ。その意味では、Code.orgの教材も、後述の「Swift Playgrounds」も、子供たちの関心を惹きながら能力を開発できるような仕掛けが巧みに組み込まれている。
BB-8の紹介後も作業は続けられ、子供たちは次々と問題を解いていく。前述の通り、全問クリアした子も何人かいたようだ。そして1時間という「コーディングの時間」は終了。参加者全員に修了証が授与された。
日本語化されていないということで、今秋リリースされたプログラミングを実体験できるiPad向け新アプリ「Swift Playgrounds」は紹介に留まるようだが、英語圏では、今回の「Hour of Code」のワークショップで採用されているとのことだ。App Storeでの配布は日本でも行われているので、興味があればダウンロードしてみてほしい。
また、ワークショップで使用したプログラミング教材はこちらから挑戦できる。なお、ワークショップは全国7店舗のApple Store(銀座、表参道、渋谷、心斎橋、名古屋、仙台一番町、福岡天神)で11日まで実施される。既に定員となっているほうが多いが、未だ空いている回もあるので、AppleのWebサイトをチェックして、是非、参加してみて頂きたい。