Adobeは、Creative Cloudの発展を、「デスクトップ」「モバイル」「コミュニティ」「マーケットプレイス」の4つの要素で加速させていく。デジタルメディア事業部担当エグゼクティブバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーを務めるブライアン・ラムキン氏は、基調講演で、4つの要素による成長モデルについて語った。

この中の、コミュニティは、すなわちAdobe MAXに集まるユーザーやパートナー企業であり、彼らに対して新たな提案を行うことは、Adobe MAXの重要な意味でもある。

2015年のAdobe MAXでは、「Project Comet」として、Adobeで初めてユーザーエクスペリエンスデザインのためのツールを披露した。その後2016年3月には、Adobe Experience Design(Adobe XD)としてパブリックベータが開始された。Adobe XDのベータテストは、Adobeがコミュニティをより重視する上で、非常に大きな「成功体験」となった。

Adobe XDは、UXデザイナーだけでなく、様々なAdobeユーザーからのフィードバックがもたらされ、レイヤーやシンボル作成機能が追加されたことを報告している。また、モバイルデバイス向けのアプリを用意し、作成中のデザインを実際のデバイス上でテストすることができる仕組みを用意した。「デザイン → プロトタイピング → シェア」というサイクルを1つのアプリで実現する初めての製品に仕上がったとアピールした。

Adobe XDは、ユーザーのフィードバックで急速にアプリが仕上がっていった

今年のAdobe MAXでは、新たなプロジェクトとして「Project Felix」が披露された。これはグラフィックデザイナーのための3Dツールと位置づけられており、Adobe Stockの3D素材を利用して、非常に手軽に3Dモデルと2Dの写真の合成を作成することができるアプリケーションとなる。

Project Felixをプレゼンテーションするゾラーナ・ジー氏。15年間Photoshopチームに携わってきたという。

前述の通り、Adobe Senseiの機械学習による光源の自動設定などの機能が盛りこまれており、素早くプロトタイピングを行う手法にフォーカスされている点が新しい。こちらも、ベータ公開されれば、多くのAdobe Creative Cloudユーザーから注目が集まりそうで、素早いアプリの洗練が実現できることが期待される。

Project Felix。背景となる画像に、3D素材と2Dのロゴデータをミックスしたボトルを配置し、光源の調整を背景画像から自動的に行っていた