サービス分野の成長は続く

アップルの稼ぎ頭は引き続きiPhoneであることには変わらない。iPhoneを基点としたエコシステム全体への波及が、より鮮明になったのが2016会計年度の振り返りと言えるだろう。

その結果としてあらわれているのがサービスカテゴリだ。ここには、iCloudの追加ストレージ、App Storeのアプリ販売とアプリ内課金、Apple Music、iTunes Store、iBookstore、そしてApple Payの手数料収入が含まれる。

2016年第4四半期のサービスカテゴリは、前年同期比で24%増、前期比でも6%増となる63億2500万ドルにのぼる。この数字はアップルの売上高全体の約14.4%を占めている。

今回のサービスカテゴリの売上高には、7月に配信が開始されて大ヒットとなったゲーム「Pokemon GO」のアプリ内課金から得られる手数料が含まれるようになっており、また9月の段階で1500万ユーザーを超えたApple Musicの成長もある。12月にはこちらもヒットが期待できる「Super Mario Run」の販売も、上乗せされる形になるだろう。

米国9月9日に「Super Mario Run」の販売もアナウンスされた

Apple Payは、2016年第4四半期での決済数が、2015年全体の決済数を上回ったと指摘しており、また日本時間10月25日からは日本でのサービスが開始された。

日本市場におけるApple Payは、米国をはじめとした地域と異なり、すでに10年来整備されてきたFeliCaをベースとした非接触IC決済インフラをそのまま利用できる。そのため、Apple Payの決済数と手数料収入が、今後飛躍的に伸びる可能性が高いと考えている。

iPadモデルをiPhoneにもたらせるか?

2016年第4四半期決算において、iPadは、926万7000台を販売し、42億5500万ドルの売上高を記録した。前年同期比で販売台数6%減、売上高は変化0%と報告している。

前期比では、販売台数7%減だったが、売上高は13%減となった。指摘したいのは、前期比で平均販売単価が下がっている点だ。これは米国は9月に新学期を迎え、価格が安く抑えられているiPad Air 2やiPad mini 4に人気が集まった可能性が考えられる。とはいえ、前年同期比で比べると、「少ない販売台数で同じ収益を上げた」という説明もつく。

決算発表のコメントで、むやみに販売価格を釣り上げることはせず、経済状況との対話をしながら戦略を練っていくとの考えを示しているものの、アップルとしては、低価格モデルも用意しつつ、薄利多売に陥らないよう、高付加価値のデバイスを主流としていく戦略を取っていくことになるだろう。