感触に関するデバイス、技術、研究
今年、IoT/CPSの総合展へとテーマを大きく変えたCEATEC JAPANだが、いわゆるIoTというよりも「つながり」をテーマにした展示が多かった。電機系/電器系のメーカーだけでなく、異業種も巻き込んだつながりという観点で興味深い。まとめて紹介していこう。
機械と人のつながりという意味で、ヒューマンインタフェースは欠かせない要素だ。今年は「感触」に関する展示がいくつか見られた。
2016のCEATECは色々と前代未聞があり、前日にレセプションパーティを都内で開き、安部総理大臣も出席。さらに総務大臣の高市氏、経産大臣の世耕氏も出席している。CEATECの事務局に調べていただいた範囲では、過去には総務大臣が1回出席しただけという。
薄型デバイスにもバイブ機能を組み込めるTDKの薄型ユニモルフユニット
携帯電話では以前からバイブレーション機能が使われているが、モーターに重りを付けているため、ある程度の厚みを必要とする。よって、最近の薄型スマートフォンでは入れにくくなってきた。
そこでTDKが技術展示していたのが、積層ピエゾ素子を使った薄型のデバイスだ。ピエゾ素子は電圧を加えると伸び縮みする性質があり、身近なところでは、エプソンのインクジェットプリンタでインクを飛ばす機構として使われている。
説明員によると、積層ピエゾ素子を大型化できる製造技術がウリ。スマホ風の大きさのデバイスをタッチすることで、様々な振動を体感できるデモを行っていた。
冷たい水も熱いお茶も表現できるALPSのHAPTIC Trigger
先述の通り、今回のCEATEC JAPANは前日のオープニングレセプションに安部首相が参加したことで話題になったが、その際に視察したデモの1つが、ALPSのHAPTIC Triggerだ。会場で行われていた4つのデモのうち、安部首相が体験したものはHAPTIC Trigger Plusだ(CEATEC会場の説明員いわく、イチオシ)。
レセプションパーティにデモスペースを用意。安部総理が体験していたのが、ALPSのHAPTIC Trigger Plusだ。水が注ぎこまれる画面とともに冷たい感触が訪れ、プラコップに水が入っているかのような感触が再現される |
これはハプティックデバイスだけでなく、モーションセンサーや熱素子(おそらくペルチェ素子)を組み込んだもの。ハプティックデバイスとは、人間に「感触」を与える技術や機器で、ゲーム画面に合わせて振動するコントローラなどがわかりやすいだろう。
HAPTIC Trigger Plusは、水という画面と音によって手に持った部分が冷たくなり、軽く握るとプラコップに水が入ったかのような感触が伝わる。一方、お茶という画面では熱くなるので、お茶が注がれたかのような感触だ。
ほかにも、プチトマトやスダチ、グミをつまんだかのような感触が得られるデバイス、素材が張られているかのように指のスライドに合わせて振動するタッチパッド、複数の共振周波数を持たせることで様々な感触を伝えるデバイスが展示されていた。なお現時点では、HAPTIC Reactorのみ製品化されているという。
HAPTIC Triggerデバイス。HAPTIC Trigger Plusの感触だけを体感できる |
体感例その1。「プチトマト」とはいっても、プチトマトを潰した経験はあまりない。力の入れ加減に対する抵抗と変位の違いで感覚をシミュレート |