AppleはiPhone 7 Plusのカメラにポートレートモードを追加したが、iPhone 7 Plusに限らず、iPhone 7も含め、カメラの撮影体験の拡大は、始まりに過ぎない、と考えている。

Appleはカメラ周辺のAPIを解放してきた。iOS 10では、RAWデータを記録したり、iPhone 7 Plusのカメラをアプリから切り替えたり、撮影時の絞りやホワイトバランスなどをコントロールすることができるようになった。

例えばProCameraやAdobe Lightroom Mobileでは、標準のカメラアプリにおいては自動切り替えとなっているカメラを手動で切り替えて撮影することもできる。

こうしたカメラ機能のアプリからの利用は、ポートレートモード以外にも、サードパーティーの手による新たな撮影方法の登場の可能性に期待が寄せられる。

例えば、Lytroというカメラは、撮影した後から、写真をタップするとその箇所にフォーカスを合わせることができる仕組みだ。もしLytroが同様の機能を備えたアプリを登場させれば、ライトフィールドカメラという領域への注目が集まるかもしれない。

また、現在はアタッチメントを装着して撮影するiPhoneでの360度VRカメラについても、より高品位な撮影をアプリによって実現できるようになるだろう。

iOS 10.1の配信タイミングはまだアナウンスされておらず、2016年中には、ポートレートモードが利用できるようになる見込みだ。年末年始に向けてイベントが多い季節、これまでと違ったiPhoneカメラの写真で、思い出を残せることになりそうだ。

松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura