公的機関の導入事例としてホワイトハウスのアドバイザーが登壇

デベロッパーやプログラマーはGitHubがプロジェクト・ホスティング・サービスであること、バージョン管理機能を提供していること、そのほかさまざまなサービスを提供していることを知っていると思う。こうした多彩なサービスは開発者のみならず企業、教育、政府機関にも広がりを見せている。

わかりやすい例がGitHub Enterpriseの普及だ。Fortune 100社のうち、すでに44%の企業がGitHubを活用している。GitHubは開発を容易にするためのサービスだが、コミュニケーション・ツールとしても優れており、いわゆるグループウェア的な使い方もできる。こうしたGitHubの利点を活用する企業が増えているのだ。

基調講演では、ホワイトハウスのテクノロジーアドバイザーを務めるAlvand Salehi氏も講演を行った。「なぜ開発者のイベントにホワイトハウスのアドバイザーが登場」と思うかもしれないが、米国政府が取り組みを進めるオープンソース活用の一端をGitHubが担っているためだ。

米ホワイトハウス テクノロジーアドバイザー Alvand Salehi氏

Salehi氏によれば、米国政府はソフトウェアに対し年間で60億米ドルほど(6140億円ほど)費やしているという。米国政府としては、オープンソース・ソフトウェアを活用することで、コードやノウハウの再利用などを促し、より効率のよい利用を進めようとしている。

そうした取り組みにおけるプラットフォームの1つとなるのがGitHubというわけだ。開発したソフトウェアをオープンソース・ソフトウェアとして公開することでそれぞれの自治体での活用を促す狙いがあるほか、パブリックコメントの募集にGitHubを使うなどして効果を上げていると語った。

政府におけるオープンソースソフトウェアの活用は、米国のみならず各国で進められている。しかし、ほとんどの国や地域で法律を定める段階まで達しておらず、個々の機関の取り組みや利用の推奨、情報の提供といった活動にとどまっている。米国政府における取り組みは日本などほかの国の活動にも影響を与える可能性があり、今後の活動が注目される。