太陽の周りを回る小惑星から試料を持ち帰る米航空宇宙局(NASA)の無人探査機「オシリス・レックス」が米東部時間8日午後7時5分(日本時間9日午前8時5分)、米フロリダ州のケープカナベラル空軍基地からアトラス5で打ち上げられた。NASAが「打ち上げは成功した」と発表した。

写真 NASAのケープカナベラル空軍基地からアトラス5で打ち上げられた無人探査機「オシリス・レックス」(NASA提供)

図 小惑星「ベンヌ」で試料採取中の無人探査機「オシリス・レックス」の想像図(NASA作成・提供)

この米探査機は、小惑星「イトカワ」の試料を世界で初めて地球に持ち帰るという偉業を成し遂げた日本の探査機「はやぶさ」の成功体験を生かした“米国版「はやぶさ」”と言われる。NASAによると、オシリス・レックスは、太陽の周りを回る「地球近傍小惑星」「ベンヌ」に2018年に到着、着陸はせずに特殊なアームを表面に接触させて約60グラムの試料を採取、23年秋の帰還を目指している。日本のはやぶさの後継機「はやぶさ2」も現在小惑星「りゅうぐう」を目指して飛行中で2020年に帰還、試料を持ち帰る予定。

NASAなどによると、小惑星は46億年前に太陽系をつくった物質が残されている貴重な研究対象。ベンヌは「(地球の)小さな山」(NASA)程度の大きさで1999年に発見された。生命の材料となる有機物が豊富に存在するとみられている。

またベンヌは、ごくわずかな確率ながら22世紀に地球に衝突する可能性があるとされ、オシリス・レックスはベンヌの軌道を関する情報も得られると期待されている。

日本の探査機「はやぶさ2」も2020年に別の小惑星から試料を持ち帰る予定で、NASAと宇宙航空研究開発機構(JAXA)は互いの試料を提供し合うことにしている。

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