アップルは現在、全国7店舗のApple Storeで、子供向けのワークショップ「サマーキャンプ」を実施している。8歳から12歳までを対象にした3日間のワークショップで、子供たちはアップル製品を利用して動画制作を学んだり、効果音やマルチタッチ機能を使ったインタラクティブブック作りに挑戦する。

「創造力と冒険に出よう。」を合言葉に、Apple Store直営店のスタッフが参加者たちの創造力を形にするサポートをしてくれる。平日で3日間通してのプログラムとなっており、最終日となる3日目には完成させたプロジェクトの発表を行う。今回は7月25、27、29日に、Apple Store, Omotesandoで実施されたiMovieを使ったワークショップ最終日の様子をお届けする。

ワークショップ最終日は完成披露試写会

ワークショップ最終日は出来上がった作品の発表会だ。お揃いのTシャツ(参加すると貰える)を着用して参加した子供たちの名前が読み上げられ、次々と作成した動画を披露していく。

1件の開催につき、6、7人が定員と聞いていたのだが、ショップの地下に集まっている子供たちは少なくともその倍はいる。昨年は別日にワークショップを実施したグループと合同で発表会を行ったため、最終日だけ人数が多くなったということがあったのだが、今年は、同日の午前、午後でグループ分けされているので定員を増やしたということなのだろう。イベントの人気の高さが伺える。

周りにある自然の風景にフォーカスした作品など、さまざまなテーマで編集に取り組んだ

発表では、家族との旅行をテーマにしたもの、飼っている犬をモチーフにしたもの、周りにある自然の風景にフォーカスしたもの、Apple Storeのスタッフをフィーチャーしたものなど、さまざまな作品が集まった。目立ったのはスローモーションのエフェクトを利用したものだ。これはiPhoneやiPadのカメラでスローモーション撮影した素材を利用することもできるし、通常のビデオ素材にiMovie上で効果を付加することでも簡単に行える。前日までのワークショップで、使い方の説明があったのかもしれないが、とにかく、子供たちはこのエフェクトがお気に入りなようで、随所で効果的にスローモーションを使った映像が観られた。

同じ素材を使いながら、それぞれ全く異なるテイストに仕上げた姉妹

家族旅行をテーマにした姉妹は、同じ素材を使いながら、それぞれ全く異なる編集で作品を紡ぎ上げた。お姉さんにはお姉さんの、妹さんには妹さんのストーリーがあるといった趣きで、同一素材を使いながらも、視点を変えることで全然違うものに仕上がるのだなあと感心した瞬間だった。

犬の目線で一人称映画に仕上げた作品

犬は未来の人間であるという奇想のもとに作られた一本

飼っている犬をモチーフにした子たちの作品も興味深かった。一人は所謂「一人称映画」の技法を用いて、iPadを携えた自身が、犬の高さの視線にあわせて撮影した素材を纏め上げていた。もう一人は「犬は未来の人間である」というアイディアを主題に据えた奇想の子で、飼っている犬の檻に自分が入り「犬は人になった」という場面で哄笑が起こった。

『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』的な何か風の作品

今回の取材では、テクニカルな射程に走るより、こういった、一風変わったテーマを扱って物語を紡ぎだすというタイプの子が多かった気がする。ホラー映画調の作品を練り上げた子は、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』ばりに手持ちの揺れる映像を使って、不安を煽るような内容に仕上げた。iMovieには「予告編」のテンプレートが用意されていて、この中にも「ホラー」というタイトルに、おどろおどろしいBGMを付加した素材が収録されている。ここからテーマを選んで仕上げるというのも面白いと思う。

ワークショップ初日の風景。iPadの奥に紙があることから、ここに絵コンテを描くという作業があったと想像

Apple Storeのスタッフをフィーチャーしたムービーを作成した子は、スタッフが地下でジャンプすると、着地は1階のエントランスになっているという、カットを上手く繋ぎ合わせたものを披露した。初日、二日目には参加していていないので、筆者には分からないが、恐らく、「絵コンテ」をちゃんと描きましょうよというレクチャーもあったのだろう。

恒例となっている修了証の授与

こちらも恒例、USBメモリの贈呈

ワークショップでは、iOSデバイスやMacを使って制作を進めるという形を採るのだが、手で、デバイスを使う場面と、デバイスは使わずアタマを使う、例えばテーマを膨らませるにはどうしたらいいかとか、インスピレーションはどんな風に得たら良いかといった場面がバランス良く時間が振り分けられているのも特徴だ。創造力と冒険に出るには両方が必要なのである。ワークショップの最後には、恒例となっている修了証とリストバンド型USBメモリの授与に、記念撮影が行われた。USBメモリにはこのワークショップで作った自分の作品が入っている。

最後は記念撮影

サマーキャンプは8月1日から2巡目が始まる。都内のApple Store、心斎橋あたりは満員だったり、キャンセル待ちという状況だが、店舗によっては、若干空きのあるところもあるようだ。それぞれ月・水・金のコース、火・木・金のコースが用意されているが、店舗によってプログラムの実施日時が異なるので。予約の状況とあわせて、こちらで確認頂きたい。夏休みを利用して、旅行先でイベントに参加するのも良いだろう。

App Storeの特設ページ「夏休みの自由研究

参加できないけど、アップル製品を使って、親子で夏休みの課題に挑戦したいという向きには、App Storeで公開されている「夏休みの自由研究」という特設ページの利用をおススメしたい。「天体観測」「自然観察」「工作/スケッチ」「ビデオ撮影/編集」「新しい形」という5つのトピックでアプリが取り上げられている。トライしてみたいテーマが見つかったら、いろいろとダウンロードしてみてみよう。この夏の自由研究と課題はiPhone/iPad、Macで是非チャレンジしてみて欲しい。

iPhoneでも「夏休みの自由研究」ページは閲覧できる