専業主婦の家庭と共働き家庭の家事分担率が大差ない実態

「私たちの顧客は働いている層が多いので、どうやってそれを支援するかという発想なんです」そう語るのは、宅配ネットクリーニングサービスを行うホワイトプラスの広報担当者。インターネットを使った宅配というスタイルを採ることで、コストのかさむ実店舗を持たなくて済み、クリーニング作業の品質を維持するための費用や価格を下げることに成功している。利用者からすれば、低価格で品質の保証があり、洗濯物を店に持っていったり営業時間を気にする必要がないので、季節の変わり目に利用するだけでなく、ワイシャツなど日常的な洗濯物にも利用できる。そのため会員の中で多いのが、共働き家庭といった時間がない人たちで、2年の間に会員数が4.5倍も増加。2015年には15万人に達している。

最速2時間で洗濯物を引き取り、最短2日で届けるという

同社が既婚ユーザーを対象に行った「共働き実体調査」(2015年12月)によると、夫との家事の分担率について、専業主婦の家庭と共働き家庭では、共働き世帯が若干高いものの大きく変わらないという結果が出た。働いている女性が、より追い込まれている実態が浮かび上がってきた。

家事の分担率

また、夕食の支度にかける時間については、両者とも30分~1時間をかけ、作る料理数は平均して3品が半数を占めていると分かった。

夕食の支度にかかる時間

夕食の平均的な料理数

「置き換え家事」という発想でつながる企業

このホワイトプラスと食料の宅配ビジネスを行うオイシックスと「アイロボット」日本総代理店のセールス・オンデマンドの3社は、自社サービスを活用した「置き換え家事」を提案した。

(左)オイシックスが提供する時短献立キット。必要量の材料とレシピが入っていて、主菜と副菜が20分で作れるとうたっている。(右)自分の代わりに掃除してくれる「ロボット掃除機ルンバ」

3社の利用者を対象に行ったアンケートによると、既婚女性のおよそ9割が日々忙しいと感じている一方で、家事が“きちんと”できていないときにストレスを感じている。「最も時間のかかる家事」という問いに対しては、1:食事、2:部屋の掃除、3:洗濯の順。「代わってほしい家事」では1:部屋の家事、2:水周りの家事、3:食事、4:アイロン掛けと続いた。

(左)「最も時間のかかる家事」。(右)「代わってほしい家事」

掃除、食事、洗濯。1つ1つは30分から1時間くらいの作業だが、家事の中でも大きなタスクとなるこの3つ。アンケートからは、“頑張りすぎずに、でもきちんと”という難しい願いが見えてくる。

家事の1つ1つの負担を減らすという発想

だからこそ生まれてくる「置き換え家事」。家事全般を第三者に委ねるわけではなく、1つ1つのタスクの負担を少し減らしてくれるサービスや商品に置き換える。同時に自分でやるのと同じくらいの“きちんとさ”を実現するというもの。“きちんとさ”の担保は難しい。たとえば、クリーニングに出したのに、汚れが落ちないまま衣類が戻ってきたりした経験がある方も多いだろうが、ポワイトプラスは上記の方法で値段を上げずにサービスの質を担保できるように管理している。3社はこの「置き換え家事」でどれほど時短効果が出るか現在モニター調査している。