既報の通り、Razerは26日に"究極のUltrabook"をうたう12.5型ノートPC「Razer Blade Stealth」を国内発表した。これに合わせて都内で記者会見を開催し、同社創業者でCEOのMin-Liang Tan氏が製品概要を紹介した。
「Razer Blade Stealth」は、2016年1月のCES 2016で発表された製品で、BEST of CESを含む18の賞を受賞し、海外メディアでは高い評価を得ているという。同社のオンラインショップ「RazerStore.com」を通じて、購入が可能だ。Tan氏は「Razer Blade Stealth」を"究極のUltrabook"と表現。その理由として「デザイン」「ディスプレイ」「性能」の3点を挙げる。
デザイン面では薄さ13.1mm、重さ1.25kgの薄型軽量を実現。素材に航空機グレードのアルミニウムをCNC加工機で削り出して製造したという。さらに同社のRazer Chromaテクノロジーによるキーボードバックライトを搭載し、全キートップを独立で1,680万色のカラーイルミネーションが可能だ。なお、日本語キーボードと英語キーボードが選択可能となっている。
また、ディスプレイはマルチタッチに対応した12.5型IGZOパネルを採用し、Adobe RGBに100%対応する。解像度は2,560×1,440ドット(WQHD) / 3,840×2,160ドット(4K)の2タイプを用意し、Tan氏は「ここまで高いクオリティのディスプレイを搭載したラップトップはない」とアピールする。
このほかにも、CPUはSkylake世代のIntel Core i7-6500U、メモリはデュアルチャンネルの8GB、ストレージはPCIe接続に対応したM.2 SSDを搭載する。インタフェースには、Thunderbolt 3(USB-C)と高速インターフェースを備える。WQHDモデルでは、ストレージ128/256GB、4Kモデルでは256/512GBから選択できる。
「日本のユーザーは卓越したデザイン、最良の品質と最先端のテクノロジーに興味を持っており、これはRazerの重要視しているポイントと合致している。日本市場でもRazer Blade Stealthが受け入れられるだろう」とMin-Liang氏は発言し、自信のほどを示した。
なお、Razer Blade Stelthには、オプションとして外付けGPUボックス「Razer Core」が用意されている。これはデスクトップ向けグラフィックスカードが搭載可能な拡張ユニットで、Thunderbolt 3によってPC本体と接続し、デスクトップ向けグラフィックスカードを搭載したゲーミングノートPCとしても利用できるようになる。さらに4基のUSBポートやLANポートも搭載する。
「私は自宅にRazer Coreを置き、家に戻るとRazer Blade StealthをUSB-Cで接続するだけで、外付けメカニカルキーボードとマウスを使ってデスクトップエクスペリエンスを実現している」とTan氏もその使い勝手の良さを説明した。ただ、北米市場で潤沢な供給が出来ていないことから、日本市場の投入は「近日中」と具体的な投入時期の明言を避けた。
Raser Blade StealthとRaser Core。2スロットグラフィックカードをサポートするのでちょっと大きめ |
Razer Coreの背面。USB-Cの接続ポートからUSB4ポートと有線LANを繋ぐ拡張ボックスに加えてPCIeスロットが用意されている |
展示機にはAMDグラフィックカードが収められていた。引きださないと見えないスライドレールに「For Gamers. By Gamers」の文字があった |
逆から見たところ。500W電源が搭載されていた。手前のレバーを起こすと引き抜ける構造になっている |
「あらゆるユーザーがわれわれのターゲット」 - Min-Liang Tan氏インタビュー
また、今回の発表会に合わせてTan氏へのインタビューも行った。「Razer Blade Stealth」に限らずRazerの今後の取り組みなどについても伺うこことができたので、この様子についてもお届けしたい。
――日本でのプレスイベントに参加されるのは初めてということですが、手ごたえも含めていまのご感想を聞かせてください?
Min-Liang Tan氏:日本ではほかの国と比べて、テクニカルな質問をされることが多かったが、これも含めていい感じで行えた。
――まずは基本的な質問ですが、ゲーマーといってもヘビーゲーマーからライトユーザーまでさまざまです。Razerがターゲットとしている層はどこでしょうか?
Min-Liang Tan氏:大きく分けて3種類のユーザー層を考えていている。1つはプロのeSports選手を代表とするコアゲーマーで、彼らはわれわれの製品をよく知っているし、愛用してくれている。2つ目はライトユーザー。ここはマスターゲットとして重視している。3つ目は「いまはゲーマーでない人」。例えばデザイナーなどでも、高性能なマウスを求めてRazer製品を使用している方がいる。いまはゲーマーでなくてもゲームを楽しんでもらえるような製品を投入することで入口を広げたい。
――「いまはゲーマーでない人」に対してRazer製品の入り口として紹介したいものは何ですか?
Min-Liang Tan氏:やはり、まずはマウスとキーボードといったペリフェラル(周辺機器)から手にとってもらいたい。普段の仕事などでももちろん活用してもらえると思うが、そのうえで"ぜひゲームも"と考えている。
――「Razer Blade Stealth」はすでに北米で販売されていますが、売れているのはどのような仕様ですか?
Min-Liang Tan氏:Razerのユーザーは高い性能を重視する人が多いので、ハイエンド構成のモデルがよく売れている。「Razer Blade Stealth」は「地上最強のラップトップ」と自負している。このような製品をぜひ、日本でも使っていただきたい。
――「Razer Blade Stealth」は、ゲーマーのみならず「ビジネスマンにもおススメ」とおっしゃっていますが、こうした層に対してのアピールポイントを教えてください?
Min-Liang Tan氏:ビジネスマンがRazer顧客の中心にはならないが、例えばゲームに親しんでいる若い方々が起業したり、就職したときにRazer製品を使ってくれているというケースがある。発表会でも比較スライドを出したように競合他社の薄型ノートPCに負けないデザイン、性能、テクノロジーと価格を備えている。これが大きなアピールポイントだ。
――Razerは、USB接続のデジタルマイク「Seiren」のような通常のゲーミングデバイスとは異なる製品も展開しています。このような製品を開発する経緯を教えてください
Min-Liang Tan氏:通常の企業ならば「商品を売って利益を出す」というのが重要なので、このような製品を出すのは難しいかもしれない。しかしわれわれは全員ゲーマーで、ゲーマーのための商品を出したい(For Gamers. By Gamers)と思っている。そのためにベストで欲しいものを出すという考え方だ。
Seirenはライブストリーミングに関するものをやりたいということで作り、ビデオキャプチャボックスもそういう意図がある。われわれは自ら製品のデザインや開発を行う技術を持っている。今後もゲーム関連の周辺機器に関して新しいカテゴリの製品に関しても開発を行い、テクノロジーとデザインのよいものを投入していきたいと思っている。
――ワールドワイドで見るとPCゲーミング市場は成長していますが、一方で日本ではスマートフォンのゲームが盛り上がっています。この市場に対して製品を投入することは考えていらっしゃいますか?
Min-Liang Tan氏:Razerのファンが"Razer Phone"を期待していることは知っている(笑)。スマートフォンの市場は非常に高いポテンシャルを持っていると理解しており、そこ対していろいろと考えているが、この場で何かお知らせできることはない。すばらしい製品ができたら、またアナウンスしたい。
――日本でもPCゲームを盛り上げようという機運が高まっています。Razerの日本国内における取り組みを教えてください
Min-Liang Tan氏:日本におけるPCゲームの動きに対して、Razerとして積極的に投資したい。すでに行っていることでもあるが、有望なプレイヤーやゲーミングトーナメントのスポンサードを行う。特にプレイヤーに対しては。日本にとどまらず世界でも活躍できるようなところまでサポートしたいと考えている。