iPadは2010年以降、順調に売り上げを伸ばしていきましたが、2012年までを境に、伸び悩み、あるいは前年同期比で大きな減少傾向にあります。直近の2016年第二四半期決算では、かろうじて1000万台を超える、1025万台のiPadを販売しましたが、この数字は前年同期比で19%の減少です。
iPad不振の理由はいくつかありますが、最も大きな理由としてあげられるのは、買い替えサイクルを作り出せていない点と、スマートフォンの急速な発展でしょう。
iPhoneは携帯電話会社を通じて、2年契約による割引販売が行われてきました。つまり2年ごとに、割引価格で新しいiPhoneを購入することができるのです。iPadには、そのように買い替えを喚起する周期はありません。
実際にiPadを使う際、スマートフォンもパソコンも持っている状態であれば、その役割は決まっており、固定的で変わりませんでした。
例えば筆者がiPadを使い始めた際は、自宅でのビデオ再生とWeb閲覧、電子書籍や電子雑誌の購読で、ほとんどの役割を占めていました。そして、ライフスタイルが特別変化しない限り、iPadの役割に変化はありませんでした。OSのバージョンが上がっても、こうした決まった作業をずっと快適にこなすすことができ、iPadを買い換える必要性を見失っていたのです。
文字を読む関係で、より高精細なRetinaディスプレイを搭載するようになった第三世代iPadやiPad mini 2は、旧モデルと比較して魅力的でしたが、より高速なプロセッサや高画質のカメラは、iPadの使い方に変化が生じない限り、多くの人にとって魅力として機能せず、買い替えの動機を作り出せなかった、と分析することができます。
そして、スマートフォンの急速な発展は、iPadの魅力を削いでいました。iPhoneは、2011年発売のiPhone 4Sまで、オリジナルの3.5インチを維持してきましたが、2012年に4インチ、2014年に4.7インチと5.5インチへと、そのサイズを拡大させました。
7.9インチのiPad mini 2を利用していた筆者は、5.5インチのiPhone 6 Plusを使い始めて、iPadを全く使わなくなってしまいました。それまでiPad mini 2で行ってきた電子書籍やニュースの購読、写真編集、スケッチなどを、iPhoneが担うようになったのです。
筆者の実体験の中でも、iPadが不振に陥る理由を理解するには十分な出来事が、2013年からの3年間に起きていたことになります。
