やがてはカーシェアや自動運転車へも参入?
サイクルシェアリング事業は、環境対策や都市部の交通事情を考えると、今後まだまだ伸びる可能性を秘めている。初期コストや運用コストを考えると、その公共性の高さから、自治体が運営するというのも納得できる話だ。あとはどれだけ多くの自治体がサイクルシェアリングへの理解を示すか、予算を立てられるか、という話になるが、2020年の東京五輪を中心に、海外からの観光客増が望める観光地や東京都内を中心に採用例が増えそうだ。
現在、都内では江東区、中央区、千代田区、港区がドコモのサイクルシェアリング事業を利用しているが、これらの自治体はまさに五輪会場だったり、それらに隣接する観光・経済圏でもある。外国人観光客を中心にサイクルシェアリングが認知され、見直されることになれば、五輪の年には今よりはるかに多くの自転車が東京湾岸を走っているところを見られるかもしれない。
とはいえ、ドコモやドコモ・バイクシェア自身の本命になるのは、坪谷社長がかつて狙っていたカーシェア事業になるのではないだろうか。都市部の駐車場事情や税金対策を考えると、今後は個人が自動車を所有するよりもカーシェアが増える公算が高い。サイクルシェアリング事業で蓄積した遠隔管理のノウハウもさらに活かせるはずだ。
また、2020年をめどに市場導入が本格化すると見られている自動運転車が登場すれば、タクシーのようにどこからでも今いる場所に最寄りの共有自動車を呼び出し、目的地まで自動運転で送ってもらえるようなソリューションも考えうる。無人タクシーなどで同様の計画を持っている企業もあるが、通信インフラや決済手段も抱えているドコモが参入すれば、大きな影響力を持つのは間違いない。
カーシェア事業への参入については具体的な話を伺えたわけではないが、サイクルシェアリングで地道に実績を積み上げつつ、その次のフェイズを虎視眈々と狙っている、そんな感触を持った。一見まったく関係のなさそうなドコモと自転車という組み合わせは、実は最大級の公共インフラ市場へと導くルートなのかもしれない。