シュナイダーエレクトリック 代表取締役 IT事業部バイスプレジデント 松崎耕介氏

シュナイダーエレクトリックは4月19日、プレスラウンドテーブルを開催し、代表取締役 IT事業部バイスプレジデントの松崎耕介氏がIT事業戦略について語った。

「シュナイダーエレクトリックは、エネルギーマネジメント、オートメーション、ソフトウェアを一体化させて、世界のエネルギー消費の70%を占める4つの市場で活動しています。ビルディング&パートナー、産業、インフラ、ITの4つの事業領域をもっており、バランスのとれた地域展開をしています」と松崎氏は事業の概要を紹介。順調な成長をとげていることをアピールした。

4つの事業領域でグローバルに展開

同社はITビジネスに関して、グローバル市場では2015年は小型UPS市場、データセンター市場の双方でシェアNo.1を獲得。戦略的パートナーシップについてもパートナーは10万社以上となっている。

「日本では小型UPS市場でNo.1を獲得、データセンター市場ではまだまだながら2桁成長をとげました。パートナーも6400社とお取引させていただいています」と松崎氏は、日本市場でも伸びてきていることを語った。

グローバル市場で強いシュナイダーエレクトリックが日本でも存在感を強めている

パートナープログラムの拡充を実施

ITビジネスに関しては、パートナーとの協業推進、DCソリューションの強化、小型UPS市場の拡大という3つの柱を掲げている。

ITビジネス事業戦略の3つの柱

パートナープログラムに関しては現在、登録するのみでパートナーポータルサイトの活用等が行える「Registeredパートナー」が500社、検証機器の無償提供や認定証の提供が受けられる「Slectパートナー」が49社存在する。その上位のクラスとして、換券登録プログラムや引き合い情報プログラム、販売促進費といった支援が受けられる「Premierパートナー」と、全シュナイダーソリューションを対象にビジネスプランの合意を行った「Eliteパートナー」というカテゴリがあり、それぞれ4社と7社の登録がある。

当日発表されたパートナープログラムの整備・強化では、この支援内容を整備したほか、「Premierパートナー」について従来は全分野で用件を満たした企業のみが登録可能だったものを、「Business Networks」、「Software」、「IT Power」、「Cooling」の4分野のうち1つだけを選択して登録可能にした。

「それぞれの得意分野に応じて参加していただけるようになりました。トータルで扱っていただける方がよいのですが、まずは得意分野で入っていただき、後から広げる方がやりやすいという声が多かったので対応した形です。Eliteパートナーについても案件を登録すれば、それに準じた価格の特典がもらえたり、私どもが見つけてきた案件をパートナーさんにフォローしていただけるような仕組みを拡充しました」と松崎氏は語った。

パートナープログラムのアップデートを実施

中規模DCへのフォーカスとIoT時代に必須の小型UPS市場の拡大を目指す

DCソリューションの強化は、病院向けソリューションや大学/研究機関向けにフォーカスしていくほか、中堅規模データセンターにフォーカスしていきたいとしている。この中堅規模というのは、200ラック弱程度の規模を想定しているという。この規模をターゲットにする理由は、参入障壁が低く、シュナイダーエレクトリックの特徴を活かせるという考えからだ。

「大規模なデータセンターの場合、いろいろな機器を導入するにあたってそれぞれ窓口が違うなど、参入が難しい面もあります。その点、中規模なものならばビジネススキームがシンプルなので、トータルソリューションを提供できると考えています。UPS、空調、ラック、セキュリティ、ソフトウェア、サービスと、データセンターのエネルギーマネジメントを1社で提供できるのは日本で私どもだけだと自負しています」と松崎氏はターゲティングの理由を語った。

小型USP市場の拡大は、x86サーバの出荷台数が減ってきていることを受け、POSや監視カメラ、WiFiルータ等を含めた非サーバ向けのUPS活用を提案するという。これはIoTインフラの電源管理が重要になってきていることも関わっており、センサーからのデータ取得、ネットワークによる伝送、データの蓄積といったIoT活用の中でどこの電源が落ちてもシステムに影響が出ることから、これまでとは違った幅広いシーンでのUPS活用が進められると期待される。

「電源管理が今まで以上に重要になってくると考えています。IoTに特化した製品は特に今のところ用意していないが、既存製品がエッジソリューションに十分対応できると考えています」と松崎氏。すでに製造メーカーやFA機器メーカーと共に製造業向けの提案を行なうことも増えて来ているという。

中温水冷空調機「Uniflair LE Chilled Water HDCV」やDCIMでDCをサポート

DCIM(Data Center Infrastructure Management)についてはファシリティ管理を行う「StruxureWare Data Center」と環境監視&セキュリティを受け持つ「NetBotzシリーズ」を組み合わせた運用のデモンストレーションを、同社の製品を展示したショールームで実施。監視カメラや各種センサーからの情報を受けた監視と、リモートでの操作が実現できることを中心に、わかりやすい管理画面の表示なども紹介された。

またDCIMで利用できるセンサーとして、ごく小さなマグネット式のセンサーも展示。ワイヤレスで手軽に設置できるセンサーは、通常の設置時には固定するが、設置しづらい高所の温度を測りたいと考えた時には鉄のところへ簡単に置くことができるという。

ショールームでのDCIMデモンストレーション

小型のマグネット式センサー

さらに同日、新型の中温冷水対応空調機「Uniflair LE Chilled Water HDCV」シリーズも発表された。発売は6月13日になるが、水冷クーラーで比較的高い温度の水を使った冷却が行えるモデルだ。そのため、平米あたりの能力が最大42%伸びる一方、消費電力は最大38%削減できるという能力を持っている。

「今、データセンターの空調は水冷にフォーカスがあたってきているので、このアドバンテージをもった製品を日本でどんどん拡販して行きたいと思っています」と松崎氏は語った。

中温冷水対応空調機「Uniflair LE Chilled Water HDCV」シリーズ