米Appleは3月21日(現地時間)、Apple本社(米カリフォルニア州クパチーノ)開催したスペシャルイベントで、「進化版」と称した、医学・医療研究および健康リサーチ向けに設計されたオープンソース・ソフトウエアフレームワーク「ResearchKit」を発表した。
スペシャルイベントで発表された「ResearchKit」は、最新版やアップデート版の呼称ではなく「進化版(Advancement)」であるとしている。さらに進化したというResearchKitでは、産後うつ、ぜんそく、心血管疾患に関する遺伝子データを取り入れた研究での利用が可能になる。
遺伝子データや、通常は検査室で行われる各種の医療検査をiPhoneアプリで扱えるようになり、医学研究者はこれらの新機能を採用することで、疾病や病態について、対象を絞り込んだ研究を計画したり、被験者から特定のタイプのデータを収集したりといったことが行える。
このようなアプリケーションを基盤とした研究の参加者は、どの研究に参加するか、どの情報を提供するかに関する承諾プロセスを、被験者や患者と相互に確認したり、参加している研究のタスクを簡単に実施したり、アンケートの回答を送信したりできる。また、健康に関するデータを研究者と共有する方法を選択することも可能で、従来とは異なり、簡単に医学研究に貢献できるようになる。
ResearchKitはオープンソースとして提供されているため、デベロッパはiPhone用の調査研究をすぐに実行へ移せる。オープンソースコミュニティ向けにリリースされたばかりの新しいモジュールを利用すると、研究者は円滑でシンプル、かつ費用のかからない方法で、遺伝子データも研究に組み込めるようになり、また、利用可能なソフトウェアコードを作成し、タスクをコミュニティに還元して、ほかの研究者がこのフレームワークを使って、さらに多くの研究の発展に寄与できる。遺伝子解析サービスを提供する企業である23andMeが設計したこのモジュールは、被験者の遺伝子データ提供をより簡便化することが可能となる。また、研究者はNational Institutes of Mental Healthと連携して、何回かの調査結果に基づき、参加者の遺伝子研究を行うための唾液を使った検査キットを提供しているとのことだ。
ResearchKitを用いた研究は国際的に拡大し続けており、現在では、オーストラリア、オーストリア、中国、ドイツ、香港、アイルランド、日本、オランダ、スイス、英国、米国で利用可能となっている。
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