国連児童基金(ユニセフ)は3月14日、HIV検査の短縮化を目指したドローンの利用実験をアフリカ大陸東部に位置するマラウイ共和国(マラウイ)において開始したと発表した。

マラウイは国全体のHIV罹患率が10%と高く、2013年時点で推定100万人がHIVを保有していると考えられている。現在は90%の妊婦が自身のHIV感染状況を認識しているなどHIV対策の進展が見られるが、乳幼児が検査や治療を受けられていないケースも存在する。

現在、血液サンプルはバイクか地元当局の救急車を使用して運ばれており、燃料費や道路状況、巡回スケジュールなどさまざまな要因からサンプルの輸送に大幅な遅れが生じ、小児用抗レトロウイルス療法の効果を高める上で大きな障害となっている。

今回の実験では、地元の保健センターから病院の研究所まで10kmのルートを飛行。今後3月18日まで費用や安全性を含めた実用化の可能性を評価していくとしている。なお、同実験では模擬的な血液サンプルを使用した。

現状では血液サンプルを保健センターから研究所まで送るのに平均で11日、結果の返送までに最長8週間を要しているが、ドローンを活用することで検査の待ち時間の削減につながると期待されている。今後、ドローンの実用化が実現すれば、道路輸送などほかの仕組みと並んで、保健システムに組み込まれる見込みだという。

ドローンの利用実験を見守る人々 (C) UNICEF_UN013394_Khonje