AFのフォーカスポイントがオールクロス45点に
外観からはわからないものの、EOS 80Dの最大の進化ポイントと言えるAFまわりの強化については、やはり説明しておきたい。
EOS 80Dの映像エンジンはEOS 70Dの「DIGIC5+」から「DIGIC6」となり、フォーカスポイントは70Dの19点オールクロス(すべてのフォーカスポイントで縦横2方向の映像検出が可能)に対して、80Dでは、なんと一気に45点オールクロスに進化(F8時でも最大27点)。画面の広範囲にフォーカスポイントが存在するため、AF精度だけでなく、写真構図の自由度も大きく向上している。
AFセンサーは70Dと同じく像面位相差式の「デュアルピクセルCMOS AF」ながら、そのアルゴリズムと読み出し速度は格段に進歩している。デュアルピクセルCMOS AFの動作が対応レンズのみに限定されていた70Dに対して、80Dは全レンズに対応。動画デジタルズーム時、エクステンダー装着時にも機能する。加えて、蛍光灯の点滅の影響を避ける「フリッカーレス撮影機能」と「色検知AF」も新たに備わった。
また、測距エリアも、従来の「1点AF」「ゾーンAF」「自動選択AF」に加え、新たに「ラージゾーンAF」を選べるようになった。ラージゾーンAFでは、画面の左、中央、右という「より広めの3つ」からAFゾーンを指定できる。被写体の位置を大まかに絞り込みつつ、AFのカバー範囲をある程度広げておきたいという「精度と保険」を両立させるモードだ。走るコースが決まっている運動会、立ち位置が決まっている合唱コンクールやダンス発表会、あるいは少年野球でバッターボックスに立つ我が子の雄姿をバッチリ押さえたい、といった状況で大いに活躍しそうだ。
測光システムが63分割測光センサーから、7560画素RGB+IR測光センサーになったことで、露出性能も向上。前述の色検知AFと連携し、肌色検出時には、より正確な肌の色と明度の再現が可能となった。さらに、70Dでは不可能だったライブビューでのサーボ連写も最大5コマ/秒の対応に。初心者にとっても使いやすく、より「頼れる」カメラになっている。
外観からはわかりにくい特長としては、「EOS 二桁D」シリーズ初の視野率100%光学ファインダーの採用が挙げられる。人によってはこれが最大のトピックとさえ感じるかもしれない。ファインダーを覗いたときには見えなかった電線や看板の見切れ、通行人のつま先、背景紙の端などが写り込んだときの、あの言いようのないテンションダウンと、トリミングによる解像度低下の憂き目を味わう必要がないかと思えば、それだけで写欲が増すというものだ。