同社ではマーケティング強化により、顧客の飲用シーンを分析する取り組みも行ってきた。従来の自販機で取得できるのは一定期間の販売データのみだったが、交通系電子マネー決済端末「VT-10/20」の開発・搭載により、時間帯別の自販機POSデータの取得が可能になった。

また、取得したデータの活用に向けてデータベースの構築と体制整備も実施。これにより単品時間帯分析に加えて、交通系電子マネーIDと「acureメンバーズ」等の会員属性データから、顧客属性分析も行えるようになったという。

「VT-10/20」の開発・搭載により、購買データ約2億件/年を活用可能に

そして同社では、これらのデータを商品戦略へ活用するべく、カテゴリ別の時間帯売上構成比に注目。自販機全体では朝が売上ピークとなるが、2011年秋冬の夕方から夜にかけてのデータでは、夕方から夜にかけて30~40代男性が甘味の高いカテゴリを多く購入していたことがわかり、甘味性の高い「おやつ飲料」を展開することで売上拡大につなげている。

カテゴリ別の時間帯売上構成比データを活用した事例

2012年春夏には、500ml容量のペットボトル商品が朝に売上ピークを迎えるのに対し、280mlの少量のペットボトル商品は午後に売上が落ちないことをデータから発見。特に40代以上の女性が多く購入していたため、小容量ペットボトル商品を「持ち歩き飲料」として積極採用し、売上の底上げを実現したという。

容量別時間帯別売上構成比データを活用した事例

そのほか、時間帯別の購入場所データを商品開発に活用した例もある。

同社では郊外居住者の購買タイミングについて、POSデータから出勤前および帰宅前の「乗車前に購買する」との仮説を立て、ミネラルウォーター「フロムアクア」の競争力強化に向けたリニューアルを決断。「持ち歩きたくなる水」をコンセプトに、新開発の“落ちないキャップ”が付いたフロムアクアを誕生させた。

時間帯購入場所データで水の購入シーンを分析した事例