LINEは10日、新たに動画のライブ配信プラットフォーム「LINE LIVE」を提供開始すると発表した。著名人、タレント、企業、個人などが主体になり、LINEの基盤を使って生放送を無料配信できるサービスとなっている。本稿では、記者説明会の様子をお伝えする。
LINE LIVE開発のきっかけ
説明会には、LINEの取締役CSMOの舛田淳氏、執行役員の佐々木大輔氏が登壇してサービスの概要などを説明した。テレビの誕生で幕を開けた映像受信の歴史。最近ではネット配信に人気が集まっている。舛田氏はこうした歴史を紐解き「スマートフォンの普及で、いつでもどこでもモバイル動画が視聴できるようになった」と評価した。しかし一方で、近年では家族でテレビを囲んでいた時代のような一体感がなくなり、体験の断絶化、個別化が進んでいると分析。人々は”生の実体験”を求めて、ライブコンサートや音楽フェスティバルなどに出かけていると話した。
LINEではこれまで、LINEのトーク機能を利用しながらライブ動画を視聴できる「LINE LIVE CAST」を試験的に提供してきた。佐々木大輔氏は、同サービスを「手のひらの上にある端末で、今だから見れる、今だから配信できるという、今という価値にフォーカスを当てたサービスだった」と説明する。
LINE LIVE CASTでオーディション番組を配信したところ、63万2,054人の視聴者数を記録。また、タレントの中川翔子さんとでんぱ組inc.が共演した番組は19万2,052人が視聴し、237万5,371件ものコメントが寄せられた。「多くの方が生放送を見てくれ、これだけのコメントが集まった。そこにパワーを感じた。これを何とかサービスにできないかと開発を進めた」と佐々木氏。
LINEの強みはプッシュ通知にある。佐々木氏は「史上、最も目線に近いスクリーンに、友達目線でメッセージがプッシュ通知で送られてくる。システムのメッセージなら無視されるが、友達のメッセージと混ざって送られることで開封率が高くなり、実際に見てもらえる」と説明する。
そこでLINE LIVEでは、普段使いのLINEから「いまから番組が始まるよ」といったアナウンスがプッシュ通知で届く仕組みを採用した。舛田氏はニコニコ動画、ツイキャスといった競合サービスとの差別化について「他の動画配信サービスでもアプリを通じたプッシュ通知は行えるが、LINEのプッシュ通知はケタ違いに高い効果がある。生放送にこだわったのは、LINEがあるから」と明かした。ちなみにテレビやラジオと連携した番組も配信を予定しているが、「既存のメディアとは共存、共栄というスタンスをとる」(舛田氏)という。
LINE LIVEでは、ファンとのコミュニケーションを強力に支援していく。また、配信者へ収益を分配する仕組みには「TIP(投げ銭)」システムを導入する。これにより視聴者は、配信者に課金したりギフトを送ったりできるという。また「LINE LIVEサービスの根幹は広告」(舛田氏)とし、番組の途中にCMを入れるほか、タイアップ番組の配信、テレビショッピングならぬLINEショッピングなども企画している。舛田氏は「LINE LIVEでは月間視聴者数1,000万人という目標を立てた。これを早々に達成させたい。社会にインパクトを与えるサービスにしていく」と意気込んだ。