「CarPlay」の名称は2014年に登場

だがiOS 7のリリースされた2013年9月時点では同機能はサポートされず、「iOS in the Car」改め「CarPlay」が2014年3月にスイスのジュネーブで開催されたGeneva Motor Showで正式発表されるのを待つ必要があった。この時点でのローンチパートナーはFerrari、Mercedes-Benz、Volvoの3社で、CarPlayの機能そのものは同年3月後半にリリースされた「iOS 7.1」で有効化された。

このCarPlayに最初に対応したのは同年9月にリリースされたFerrari FFであり、その後2015年にかけて何社かが続いている。本格的にラインナップが拡大したのは、2016年モデルの登場し始めた2015年後半からで、MacRumorsに対応ラインナップがまとめられていることが確認できる。このほか、パイオニアのように車載エンタテイメントシステムに統合するタイプのCarPlay対応製品を出しているメーカーもある

パイオニアのCarPlay対応製品「SPH-DA700」

CarPlay搭載のための試作システムは2014年から2015年初頭にかけていくつか見かけたが、これらが実際の製品に落とし込まれてデビューするのは2016年後半以降とみられ、現在すでに市場投入されている製品はかなり早い段階で取り組みが行われていたケースだろう。つまり、CarPlayにつながる最初のコンセプトがAppleによって発表されてから、市場が立ち上がり始めるまでに実に3年半~4年もの月日を必要としたわけだ。

CarPlayは日本で流行るのか

さて、気になるのは、このCarPlayがどこまで日本市場に広がるかだ。日本のスマートフォン市場で5割近いシェアを握るiPhoneのことを考えれば、CarPlayは魅力的な機能にも思える。実際、楽曲や日々の作業データをiPhoneで持ち歩いているユーザーは多いと思われ、これらを車載エンタテインメントシステムへと転送して車内で音楽を聴いたり、あるいはSiri連携でスケジュールやメールの確認を行ったりと、活躍の場面はいろいろ考えられる。

とはいえ、CarPlayで提供される大きな機能の1つであるナビゲーションの扱いが日本と海外で異なるという問題もあり、この点で評価が分かれるかもしれない。長らく海外市場でのカーナビの主流はPND(Personal Navigation Device)のような取り外し可能なオプションであり、車上荒らしが多いという背景に根付いていた。

後にAndroidやiPhoneがナビゲーション機能を搭載し、それが機能的にこなれてくると、しだいにPNDのような専用デバイス市場は縮小していった。ちょうど入れ替わりの時期にCarPlayやAndroid Autoが登場したこともあり、スマートフォンと車載システムとの連携で重要なのはエンタテインメントだけでなく、ナビゲーション機能も包含していくことが重要となった。