早稲田大学(早大)は12月7日、同大学本庄高等学院の生徒らが、蚕が食べるクワの葉の中に植物の宝石「プラントオパール」を発見したと発表した。

同成果は、同大学政治経済学部 筒井音羽 氏、同大学教育学部 坂本玲 氏(両氏は研究当時、同大学本庄高等学院に在籍)、同大学本庄高等学院 尾林舞香 氏、山川冴子 氏、半田亨 教諭、東京大学 物性研究所 松田巌 准教授らの研究グループによるもので、11月26日付けのオランダ系植物学誌「Flora」オンライン版に掲載された。

植物の中には1個体に形の異なる葉が存在する「異形葉性」という特徴を持つものがあり、クワはこの性質の顕著な植物として知られている。同校では、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)として、2010年からキャンパスに自生するクワの葉を対象に、有志生徒が「異形葉の規則性」の研究に取り組んできた。

2013年に同研究を行っていた際、筒井氏が光学顕微鏡で葉を観察したところ、大きさ50マイクロメートルの透明な鉱物があることを発見。同鉱物を同定するためにSSHの運営指導員をしていた松田准教授に電子顕微鏡による元素分析を依頼したところ、鉱物は植物の宝石「プラントオパール」であることがわかった。

プラントオパールはケイ酸の結晶で、植物が水と共に取り込んだ土中のケイ酸イオンから形成される。イネ科植物の葉においてはよく知られているが、蚕のエサである一ノ瀬クワの葉の中でのプラントオパールの観測は同研究が初めてだという。

電子顕微鏡による一ノ瀬クワの中のプラントオパールの元素マッピング