デル・ソフトウェアは12月2日、記者会見を開き、デルの「PowerEdge」サーバ上にデータ保護ソフトウェアである「AppAssure」を組み合わせたバックアップ&リカバリアプライアンスのDELL DLシリーズの3モデル「Dell DL4300」「Dell DL1000」「Dell DL1000 1TB」を日本において同月8日から提供開始することを発表した。価格はオープンだが、DL 1000の2TBの標準価格は140万円(税別、5年間の保守付き)。

「Dell DL4300」

デル・ソフトウェア 代表取締役社長の中村共喜氏

冒頭にデル・ソフトウェア 代表取締役社長の中村共喜氏が同社のソリューションポートフォリオについて「米国では、さまざまなソリューションを提供しており、日本法人を支えているのはセキュリティとデータ保護だ。しかし、今後は米国同様に日本におけるポートフォリオの展開を増やしていきたいと考えいる。特にレガシーアプリケーションからの移行管理とデータベース管理に注力する」と語った。

新モデルは、PowerEdgeサーバ上にAppAssureを組み合わせた新しいアプライアンスとなり、小規模から大規模の企業・組織でも導入を容易にしたターンキー・データ保護ソリューション。物理、仮想のいずれの環境でも稼働し、顧客の居場所を問わず重要なデータやアプリケーションを保護する。

米デル・ソフトウェア システム・情報管理製品担当バイスプレジデントのブレット・ロスコー氏が新モデルの説明を行い「近年、データのバックアップとリカバリ領域は顧客の要求が高くなっており、従来のバックアップ、リカバリの方法では時間・手間を要し、顧客の満足は得られない。我々としては、迅速なリカバリとクラウドに対応するという2つのソリューションが大事なことだと考えている」と述べた。

米デル・ソフトウェア システム・情報管理製品担当バイスプレジデントのブレット・ロスコー氏

新モデルのメリットとして同氏は「アプリケーションをソフトウェアのみで展開する場合はどのようなソフトウェアであってもITマネージャー達がネットワーク、ストレージ、サーバのリソースの設定やコンフィグレーションに追われることがある。新モデルは簡素化し、ターンキーのソリューションを提供することを目指しており、新モデルを投入した場合、ハードウェアとソフトウェアは互換性を備えた状態で動作するように設定されている。また、バックエンドのストレージやレプリケーションは自動化し、マネージメントについてもシステム関連やストレージ関連、アプリケーション、ネットワークなどは1つのコンソールに一元化している」という。

Dell DL4300はバックアップ、複製、リカバリのソフトウェアである「AppAssure」の最新バージョンをプリインストールした使いやすいプラグ・プレイ製品。バックアップ、保護ストレージ、レプリケーションを統合し、ターンキーで20分以内でセットアップが可能だ。

同製品に搭載されているRapid Appliance Self Recovery(RASR)は障害発生時にアプライアンスのリカバリを容易にする機能。ユーザはアプライアンスの定義済みリストアポイント作成、または工場出荷時のイメージ復元のいずれかを選択でき、一定間隔でアプライアンスのスナップショットを作成するよう計画し、障害発生時にはフェイルオーバーでスナップショットにアクセスできる。

一方、Dell DL1000/DL1000 1TBは小規模企業特有のニーズに合わせて設計された製品。DL1000は60分ごとにスナップショットを取得し、継続的なデータ保護を行うほか、AppAssureのデータ変更追跡と重複排除機能により、変更済みのデータだけをバックアップして移動させるためネットワークおよびストレージへの要求事項が最小限に抑えられるという。

統合型のバックアップ・リカバリ機能

ターンキーのため迅速な稼動を実現

新モデルの主な機能として「Live Recovery」は保護したデータにほぼ継続的にアクセスを可能としたほか、「Recovery Assure」はバックアップするデータの整合性をチェックし、リカバリする。「Universal Recovery」は単一のファイル、メッセージ、データオブジェクトからマシン全体(物理または仮想)、異種ハードウェアまで、あらゆるレベルの復元を可能とし、「Virtual Standby」は仮想マシンに更新を継続的に送信し、プライマリマシンで問題が発生した場合は、同仮想マシンを起動する。

また「Cloud Archive」は静的データを「Microsoft Azure」「Amazon S3」「OpenStack」「Rackspace」ベースのクラウドプロバイダーにアーカイブし、「レプリケーションシナリオ」はローカルサイトまたはDRサイトのレプリケーションができる。「インライン・グローバル重複除外」はバックアップストレージ容量の削減し、統合管理ポータルではDLシリーズ、AppAssureの一元的な管理を行う。

さらに高い拡張性を備え、ビジネス成長度に合わせて必要容量が追加でき、標準エディションの利用可能な容量は最大60TB、大容量エディションは最大120TBに設定しているが、初期では必要な容量のみのライセンスを取得し、ストレージを追加する場合は未使用容量のライセンスを加えられるなどの柔軟性を有する。標準エディションではコストのかかるフォークリフトアップグレードを行わずに、手元のエンクロージャ内での増量を可能にするため、導入規模が大きくなる際は、拡張シェルフを用いたストレージリソースの追加ができる。

加えて、パフォーマンスの向上として標準エディションと大容量エディションの2種類で提供し、PowerEdgeサーバを基盤に最新のインテルプロセッサー技術を採用することで、高速かつ高性能のバックアップ&リカバリアプライアンスを実現。標準エディションは、8コアプロセッサーと最大128GBのメモリ、大容量エディションは10コアプロセッサーと最大256GBのメモリを備えている。

そのほか、VM管理の強化では保護されたアプリケーションの仮想スタンバイを稼働させ、数秒内にリカバリが行える。仮想環境の保護は複雑になりがちだが、DL4300ではハイパーバイザーにアクセスせずに単一のインタフェースから、すべてのスタンバイ仮想マシンを閲覧、管理ができるため複雑さを軽減。ライセンス済みのMicrosoft Hyper-V仮想マシンが標準エディションには2つ、大容量エディションには4つ搭載されている。

低価格での提供を目指す

ロスコー氏は「このようなソリューションは管理の面からすれば、ITインフラとソフトウェアの適合性や複雑さを避けたい中小企業、ミッドマーケットの顧客に適している。また、Virtual Standbyの機能は利点となり、バックアップしたアプリケーションを常に動作できる。そして、マネージドサービスプロバイダー(MSP)のソリューションとしても活用を可能とし、MSPがDL 1000をBaaSとしてローカルのキャッシュを使うことで、サービスを提供することができる」と強調した。

また、クラウドへの対応として「AzureやAmazom S3、Openstackなどの環境にレプリケーションしたい場合にもネイティブのクラウドコネクタを備えているため、パブリッククラウド、プライベートクラウドにつなげることもでき、今後もクラウドの部分は強化していく」と同氏は語った。