では、企業は枠作りをした後、何をしたいと考えているのか? 調査の中では2015年度に行いたいことと、その後3年でやりたいことを分けて質問している。

「2015年度は、新規顧客開拓や市場データ収集にとてもフォーカスしており、そこにアクセスしていく"面"を確保したいという傾向になりました。そしてその後は、そこからマネタイズすることや客単価の最大化といった方向へ深掘りしたい意向が見えます。つまり、今はシステム投資の段階で、来年以降がアクションの段階です」(もたい氏)

当面の目標とされているのは、社内データの活用だ。特にECサイトを持つ企業の場合は、実店舗のデータとECサイトのデータで同一顧客の情報が二重登録されている場合も多い。そうしたものを「名寄せ」して、社内に実のあるデータを作り、分析の材料とすることが最初の一歩だといえる。

「現在使っているマーケティングシステムは何ですかという問いには、圧倒的に管理システムという回答があがっています。顧客管理システムや販売管理システムなどです。ビッグデータなど外部データを活用するよりもまず、お客様データの可視化が注目されているため、管理システムは今後もまだ伸びるでしょう。新規システムとして導入検討されているのは、マーケティングオートメーションやウェブ会議・チャットなどです」ともたい氏。

社内データが整理できていない状況からの脱却を目指しているという状況とともに、社内データ活用が進むであろうと分析される理由はもう1つある。それは、データ活用の準備が整っていないという実情だ。社内横断的な組織を構築し、CMOやCDOといった役職を設置しても、現実にデータ分析をできるスキルがないという回答が少なくない。

「何が課題かという設問への回答は、人と組織に関わるものが多くあがりました。スキルがない、何をしていいかわからないというようなものです。分析する人材も足りませんが、その手前に存在すべきである、何をすべきなのかという意志も固まっていません。データ分析に必要なのは仮説と検証です。まず仮説を立てて、検証を行う。将来的にはシステムが自動化してくれるかもしれませんが、現状は仮説を立てて分析を行える人がいなければ始まりません。そういう意味でも、まずは目の前にある顧客情報の名寄せのようなものからスタートする形になるでしょう」(もたい氏)