JUJU、西野カナ、JASMINEらをプロデュースし、少女時代、東方神起、SOL(BIGBANG)、シェネル、Boyz II Menなど海外アーティストの作品を手がける作曲家/音楽プロデューサーのJeff Miyahara氏が本日発売となったiPad Proに早速トライ! ファーストインプレッションを綴って頂いた。

Jeff Miyahara(じぇふ・みやはら) 1977年ロサンゼルス生まれ、日本と韓国のハーフという多文化・多言語的なバックグラウンドを持つ。少女時代、東方神起、SOL(BIGBANG)、シェネル、Boyz II Menなど海外アーティストの作品を手がけつつ、日本ではSMAP、加藤ミリヤ、JUJU、JAY’ED、西野カナ、JASMINE、ONE OK ROCK、安室奈美恵、青山テルマ、山下智久等の数多くのアーティストのプロデュース/クリエーションに携わる。2013年にはクリス・ハートを新人発掘、初アルバム「HeartSong」はロングセラー作品となり、「第55回日本レコード大賞 企画賞」を受賞している。アップルに関する知識、造詣も深く、Macintosh 512Kを手にして以来、さまざまなアップル製品を使用しており、サウンドプロダクトの現場でもMac ProやMacBook Proなどを広く活用している

まず、デザイン、これは見た瞬間に一目惚れでした。スクリーンが大きくて見やすいのはもちろんですけど、iPad Proは、初めて起動したときの感動がとても大きいです。どんなデバイスであっても、どんなテクノロジーであっても、最初の印象が大事で、一目惚れできるかできないかってところは重要ですから。アップルの製品は、どれも一目惚れの要素が強烈なんですけど、iPad Proについては、これこれ、これを待っていたんだっていうのが率直な印象です。以前から大きいiPadが出るという噂は耳にしていて、情報も追いかけていましたし、9月に行われたスペシャルイベントもじっくりと見ていましたが、実際にモノを見た瞬間に、ああこれだなと。グラフィックス、ストレージ、メモリ、CPU、画面の大きさ、どれをとっても申し分ないのではないでしょうか。コンピューティングの未来がこの中に詰まっていると確信しています。

以前だと、iPhoneやiPadをモバイル環境で使って制作したものを、スタジオなどでMacに流し込んで作業を引き継ぐっていうのが一般的でしたけど、これで事情が変わるんじゃないかっていうくらい衝撃でかいです。

これは本当に一目惚れでした。使っていてワクワクするデバイスですね

Mac OS用のアプリとiOS用のアプリの差も小さくなっているのもポイントです。使い方もユーザーインターフェースも近付いているところに、iPad Pro専用のキーボードカバー「Smart Keyboard」が加わることで、Mac的なキーボードショーカットが使えるようになり、使いやすさ、スピード感に加えて、自分にとって重要なクリエイティヴィティが生まれやすくなってくるだろうなと予想してます。MacBookやMacBook Proで、自分はこうやって使いたんだけどというイメージがあったのですが、それを具現化してくれるのがiPad Proなのではないかと。プロフェッショナルな音楽制作ツールとして、Pro ToolsやPCIカードといったサードパーティが提供するソリューションがないとダメという状況がかつてはあったのですが、それはそれで、職人の選択としてありつつ、クリエイティヴな自分、ビジネスマンとしての自分がやりたいことはiPad Proで全部出来てしまうイメージですね。

様々な局面で発生していたタイムラグも非常に少ないというのもインパクト大です。このあたりはデスクトップクラスの64ビットアーキテクチャを搭載したA9Xチップに依るところが大きいのでしょう。「Smart Keyboard」も新しいインターフェース「Smart Connector」のおかげで、ペアリングの必要ナシ、スイッチ入れる必要ナシになったうえ、キータッチのレスポンスもとても良いです。サードパーティ製のBluetoothキーボードはすぐ使うことが出来なかったり、反応が良くないことがあったのですが、まず、このストレスから開放されました。ペン型の入力デバイス「Apple Pencil」も素晴らしいです。Apple Pencilも、非常にレスポンスがよく、楽器を触っているような感覚で使えます。GarageBandでドラムのパートを打ち込むのに、スティックに見立てて画面を叩いてみたりしましたが、使ってみて、冗談抜きで2本欲しくなりましたね。画面が大きいからGarageBandのミキサーのフェーダーやソフトウェア・シンセサイザーのツマミの操作も楽というのはありますが、それ以上に、Apple Pencilでは繊細なコントロールが出来ます。微細な動きも捉えてくれるので、細かいニュアンスを表現するのに非常に向いていると感じました。現在のGarageBandのバージョンでは、ボリュームの情報などをApple Pencilで書き込むことはできないのですが、これは次期バージョンでの対応を期待したいです。プロユースのアプリでは「Cubasis」や「Auria」がコントロールカーブを入力できるので、この辺りのアプリもApple Pencilでの操作感を試してみたいですね。

タイムラグもないのでストレスなく使えます

音の話になったので、スピーカーについても触れておきます。四隅に配置されたスピーカーは、どれからもローが出ているのですが、iPad Proを設置した際、上方となる左右はミッドからハイのスピーカーとなって、高い周波数帯が出力されるという特徴的な機構を備えています。この調整は自動で行ってくれ、縦向き、横向き、どちらでもベストなバランスでのリスニング環境を提供してくれます。薄いボディからは想像できないくらいの音量が出るので、音楽を聴くのはもちろん、映画やゲームでも迫力のあるサウンドを楽しめます。スマートフォンやタブレットで音楽を聴くというのは当たり前になってきているので、僕らもそういったリスニング環境でもいい音で聞こえるようなサウンドプロダクションを考えていますが、こうなってくると、iPad Proをリファレンスモニターとして使用するという場面が出てくるでしょうね。音の基準もiPad Proになるという。

(Photograph SHOWMOV)