サイバーリンクは15日、「PowerDirector 14」をメインとする動画、音声、写真編集ソフトをリリースした。「PowerDirector」は、バージョンナンバーの14が示す通り、動画編集ソフトとして歴史あるシリーズ。すでにご存じかと思うが、すべての機能を搭載したパッケージが「Director Suite 4」である。

図1 Director Suite 4パッケージ版

「Director Suite 4」は、「PowerDirector 14」「AudioDirector 6」「ColorDirector 4」「PhotoDirector 7」という4種類のソフトウェアから構成される。これらのソフトウェアは、単体としても購入可能だ。「PowerDirector」自体もさまざまなエディションが用意されている。エディションごとの機能の違いは、図2の通りである。

図2 PowerDirector 14の製品構成

この機能比較をみると、個々のソフトを揃えるよりも「Director Suite 4」ですべての機能を利用可能にするほうが効率的ともいえる。機能面以外にも、同社のクラウドサービス「CyberLink Cloud」の容量や対応の有無、エフェクト・テンプレート数の違いなどにも注目したいところ。なお、製品ラインナップや価格については、本誌記事サイバーリンクのWebページを参照していただきたい。以下では、個々のソフトウェアの新機能などを紹介していく。

「アクションカメラセンター」を搭載したPowerDirector 14

動画編集ソフト「PowerDirector 14」は、4つのソフトウェアのなかでももっとも中心的な存在となるものだ。今回も、多くの新機能が搭載された。

図3 PowerDirector 14の新機能や強化点

すべての新機能を紹介の中から、いくつか興味深い機能を紹介しよう。今回、新しくなったメイン画面が図4となる。シンプルなメイン画面だ。前バージョンからは、下に3つのメニューが追加されている。

図4 PowerDirector 14メイン画面

さて、新機能であるが、まず注目したいのは「アクションカメラセンター」であろう。アクションカメラとは、機能をかなり限定し、スポーツシーンなどで臨場感ある動画を撮影することができる超小型カメラである。一般的なビデオカメラとは性能も大きく異なる。それゆえに、撮影された動画編集に対してもアクションカメラ用の機能が求められるが、それに応えるのがこの「アクションカメラセンター」となる。

アクションカメラの多くは、スポーツ中にプレイヤーが見ている視界をカバーできるような、超広角レンズを採用する。結果、撮影された動画は、魚眼レンズのようなゆがみを伴うことが多い。「アクションカメラセンター」では、それを補正するレンズ補正機能が搭載された。しかも、プルダウンメニューからアクションカメラのモデルを選択すると、撮影したアクションカメラに最適な補正を適用できる。

図5 レンズ補正

同社サイトの「DirectorZone」にも、アクションカメラのレンズ補正プロファイルを用意。メーカーやモデルごとに最適化されたの補正プロファイルを選択し、ダウンロードできる。サイバーリンク社では、現時点でメニューにないアクションカメラなどにも適宜対応していく予定だ。

図6 DirectorZoneにアップされるプロファイル

また、強化されたエフェクト機能では、リピート再生や速度エフェクトを設定できる(左のペインで設定する)。

図7 リピート再生や速度エフェクト

リピート再生や速度エフェクト機能は、画面下の中央のタイムラインを選択(図7の黄色の部分)すると、該当部分に適用される。簡単に選択でき、非常に設定しやすい。速度エフェクトをかける場合、[イーズイン][イーズアウト]を設定すると、速度エフェクトがなめらかな仕上げとなる。他に手ぶれ補正機能も搭載する。

そして、特に紹介したい機能が、動画作成テンプレート機能「クイックプロジェクト」である。メニューからクイックプロジェクトを選び、その1つをタイムラインにドラッグ&ドロップしたところが、図8である。

図8 クイックプロジェクト

この時点で、複数の(それなりに複雑な)タイムラインが構成される。しかし、ユーザーがすべきことは、非常に単純である。数字のあるプレースホルダーに、動画、音楽、写真をドラッグ&ドロップするだけ。これで、見栄えのする動画が作成できる。現時点でプレインストールされたクイックプロジェクトは多いとはいいがたい。しかし、こちらもDirectorZoneに、アップロードされていくだろう。

動画編集というと、かつては面倒なイメージがつきまとった。しかし、今回の新機能のように、従来の面倒さを排除するような機能が充実してきている。ここでは紹介できなかったが、モーショントラッキングでは、非常に高い精度と自由度をもって、自由にオブジェクトをトラッキングできる。こういった機能から、「PowerDirector」では、パワーユーザーだけでなく、初心者にも高い評価を得ているとのことである。

パフォーマンス面でも、Intel第6世代Core iプロセッサ(Skylake)のH.265ハードウェアエンコード機能をサポートし、高速にH.265を出力するといったことも可能となった。発表会では、ASUSから提供されたSkylake搭載デモ機などが展示されていた。

図9 Skylake搭載PCでのデモ