キヤノンは9月8日、物体の光沢感や立体感、透明感などの「質感情報」をデジタルカメラで取得し、プリントで再現する質感画像処理技術を開発したと発表した。

質感画像処理技術を用いたプリント出力物の例。左から金屏風(向かって右がプリントで左が本物の金箔)、油彩画(フェルメール作「真珠の耳飾りの少女」)

今回発表された質感画像処理技術は、光沢感や立体感、凹凸感、透明感など材質について人が感じ取る視覚的・触覚的な要素である、質感を表現できる技術。キヤノンのデジタルカメラ複数台を用いて対象物を撮影し、微細な凹凸や光沢などの質感情報を数値化。数値化された質感情報をもとに、UV硬化型プリンターといったプリンターを制御し、質感を忠実に再現するという。

質感画像処理技術によって、金属や生地といった多様な質感のプリントが可能となる。これを生かしてキヤノンは、油彩画などの貴重な歴史的文化財を複製し、これまで触れなかった絵画作品に直接触れるという新しい鑑賞方法などを提案している。壁紙などのインテリア素材や広告看板、商品パッケージなど適用先の拡大を目指す。