文化の違い、言語の違い、欧州の難しさを克服するには

ソニーヨーロッパでは「WOW」という言葉を社内に徹底させているという。「これは、ソニー社長の平井一夫が常に語っているWOWとは異なり、ウェイ・オブ・ワーキングの意味」と、玉川プレジデントはジョーク混じりに語るが、一転厳しい表情で、「WOWを実現するための8カ条がある」と玉川プレジデントは語る。

「プランを立てる上で事実に立脚」「データを生かす」「単純・透明なプロセス」「根本を解決」「付加価値を自覚・最大化」「(自らが)やって見せる」「あきらめない、いいわけしない」「自分ごととして考える」、これらが8か条の項目だ。

WOWを実現するための8カ条

「ソニーヨーロッパの2700人の社員に、自分の付加価値がなにかを理解し、それを組織のなかで最大化することを考えほしいといっている。また、サラリーマンとして働くのではなく、自分事として働くことが大切である。そうすれば仕事が楽しくなる」と語った。

ちなみに、ソニーヨーロッパでは、2013年からは10カ国のセールス・マーケティングマネージャーが3日間かけて議論する「マンスリー・カントリーマネージャー・ミーティング」を毎月開催。それによって、各国と共通の認識の上で事業が展開できているという。

欧州全体で意識を統一

だが、「これを、販売現場の末端まで浸透するためにはどうするか。各国の現場で意志疎通が行えるように同様の会議をローカルで行うようにしたい」という。すでに英国ではこの成果が出ており、今後は横展開していくそうだ。

「欧州の難しさは、文化の違い、言語の違いがあるという点。欧州市場をひとつにまとめて考えることはできない。しかし、欧州のどこにいっても、ビジネスの本質は変わらない。極めるには、基本動作をしっかりすることである。社員もやっているうちに、成果がでていることに気づきはじめている。ソニーヨーロッパにとっては、黒字化が短期のミッションではあったが、長期的には、WOWの文化を根づかせることにある」と、玉川プレジデントは語る。

そして、ソニーヨーロッパは2014年度に黒字化を果たしたが、「今後は、4Kやハイレゾなどの高付加価値の領域でビジネスを伸ばしていきたい。そこにソニーに強みが発揮できる」とさらなる先を見据える。ソニーヨーロッパの成長戦略は1年倒しで推進されている。エレクトロニクス事業の復活の道筋を示す役割を果たすことにもなりそうだ。