ソニーはドイツ・ベルリンで開催しているIFA 2015の会場で報道関係者を対象に、欧州におけるコンシューマエレクトロニクス事業の取り組みについて説明した。

日本よりも規模の大きいコンシューマー向け事業

ソニーヨーロッパ 玉川勝プレジデント

ソニーヨーロッパの玉川勝プレジデントは、「欧州のエレクトロニクス市場全体が縮小傾向にあるなか、ソニーは着実にシェアを拡大している」とし、3年前に比べて、液晶テレビのシェアが4%から12%に高まったほか、コンパクトデジカメでは14%から24%に、デジタル一眼カメラでは24%から33%に拡大していることを示した。玉川プレジデントは、「今後も、4K映像やハイレゾサウンドなどの高付加価値の領域でビジネスを伸ばしていきたい」とする。

ソニーのグローバル事業比率において欧州は23.5%を占め、米国の18.6%よりも大きく、日本に次いで第2位の事業規模となっている。さらに、コンシューマーエレクトロニクス事業という点だけでみれば、日本を抜いて、グローバルで最大規模であるという。

ソニーグループの地域別事業規模

現在、ソニーヨーロッパは欧州地域を中心に、ロシア、CIS、トルコを除く、40カ国を越える市場を統括している。2012年までは、26の独立法人による展開だった体制を一本化し、「ひとつの器でビジネスを展開する体制」(ソニーヨーロッパの玉川勝プレジデント)へとシフトした。

2012年7月に玉川氏が同社プレジデントに着任してから、ソニーヨーロッパの統合成果もあり、ソニーヨーロッパは事業拡大を続けている。欧州のエレクトロニクス市場全体がマイナスで推移するなか、2013年度の売上高は前年比14%増、2014年度も同14%増の伸びをみせている。

2013年度、2014年度とも14%の成長

「3年間の市場推移をみると、液晶テレビは2014年のワールドカップ需要で一時的に伸びたが、全体として減少し続けている。コンパクトデジカメは20%減で推移し、レンズ交換式カメラは2013年以降縮小が続いている。だが、ソニーは、すべてのカテゴリーでシェアを伸ばしている」という。

なぜ、ソニーヨーロッパは成長を遂げているのか

玉川プレジデントは3年前の着任当初を振り返り、「ひとつの器になったものの、各国がそれぞれに独自のやり方をしており、簡単にひとつにはならない。その効率の悪さに加え、リーマンショックの影響を受け、慢性的な赤字体質となっていた。最初の目標は黒字化であった」と切り出した。そして、「3つの優先事項に取り組んだ。ひとつは業務効率化の向上、2つめは収益の改善、3つめが高付加価値商品への注力であった」とした。

「業務効率化の向上」では、法務部門および財務部門を欧州全体として統合。各国の拠点はセールスおよびマーケティングの専任部隊とした。「収益の改善」では、サプライチェーンの精度を向上させる一方、ガバナンスが利いたマーケティング投資を実施した。そして、「高付加価値商品への注力」では、ソニーが戦える分野と位置付けて計画を進めたという。

こうした基本戦略のうえで、正しく現状を把握する「データマーケティングの導入」、販売店現場における対応力強化を図る「現場魂の注入」、投資を厳選する「費用投下の選択と集中」、社員に対する「働き方の徹底指導」の4点に取り組んだという。