多種多様な候補から自分好みの端末を選択でき高度なカスタマイズが可能、それがAndroidの魅力であり強みです。しかし、その自由度の反面わかりにくさを指摘されることも少なくありません。このコーナーでは、そんな「Androidのここがわからない」をわかりやすく解説します。今回は、『Androidでサポートされる「Vulkan」って?』という質問に答えます。

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Vulkan(バルカン)は、OpenGLなどで知られる標準化団体・クロノスグループが策定したグラフィックAPIです。GPUへ直接アクセスできる仕組みにより、従来のグラフィックAPIと比較して高速な描画を実現できます。Android OSでVulkanがサポートされることは、Android OSの描画能力アップ、ひいてはゲームや画像処理に関連したアプリのパフォーマンス向上につながります。

パフォーマンス向上の要因には、描画命令(ドローコール)の削減による高速化が挙げられます。従来使用してきたグラフィックAPI(OpenGL ES)と比較してマルチスレッドへの最適化が進んでいるため、効率よく並列処理を進めることができ、同期処理を伴わないぶんCPUにかかる負荷を減らすことができます。GPUに直接アクセスしてムダを省き、並列処理を最適化してCPUコアを効率利用する結果、描画パフォーマンスが向上するのです。

Vulkanのサポートによる具体的なメリットですが、ゲームなどグラフィックを駆使するアプリの負荷低減が挙げられます。負荷を減らせたぶん、よりリッチなグラフィックを使う余地もでてきますから、繊細さやリアルさも増します。負荷低減は電力消費量削減にもつながるため、バッテリーのもちが改善される効果も期待できます。VulkanがAndroid OSでサポートされる具体的な時期は明かされていませんが、そう遠くはないでしょう。

ところで、iPhoneにもよく似たコンセプトのグラフィックAPI「Metal」が用意されています。iOS 8のとき導入され、高精細グラフィックをふんだんに用いるカーレースやFPSなどゲームアプリが続々登場しています。VulkanとMetalのコンセプトには共通項が多く、描画性能向上などメリットも似ているため、Android OSでも同傾向のアプリに採用される事例が増えることでしょう。

8月10日、GoogleはAndroid OSで高効率グラフィックAPI「Vulkan」をサポートする計画を発表しました