真空チルド室にもプラチナ触媒を採用

「真空チルド」シリーズの名前にもなっている、真空チルド室も健在だ。真空チルド室では、室内の空気を真空ポンプで吸引して約0.8気圧にする。食品の周囲の酸素を減らすことで酸化を抑え、食材の栄養と鮮度を守る機能だ。また、気圧をコントロールする関係上、高密閉構造になっているので、湿度も保てて食材の乾燥を防げる。

新製品では、この真空チルド室にもプラチナ触媒を搭載。魚や肉といった食材表面を炭酸ガスでコーティングすることで、食材表面を弱酸性化。これにより、肉などのタンパク質を分解する酵素の働きが低下して、食品の劣化を抑制できる。

冷蔵庫内に配置されている真空チルド室。内部は0.8気圧に調整されているので、ロックを外すと「シュッ」と空気の抜ける音がする

炭酸ガスでコーティングされた肉のph値を計測する実験。通常の肉(写真左側)が中性なのに対し、炭酸ガスを吹き付けた肉(写真右側)は弱酸性に変化している

通常の冷蔵室と、真空チルド室で3日間保存した食品を比較。冷蔵室で保存した食材は変色しているのがわかる

同じようにケーキも3日間保存。冷蔵庫保存のケーキは乾燥して固くなっており、指が弾かれてしまう。一方、真空チルド室保存のケーキはしっとりしていて指が沈む

真空チルド室で保存した肉や魚は、栄養素の減少量が少ないという。DHAの場合、冷蔵庫保存と比較して29%多いという結果に

庫内幅は最大約78cm。真空チルド室も、幅約61cmと広々。丸ごとの魚や大きなブロック肉も保存できる

大容量でも使い勝手を犠牲にしない

R-X7300F最大の特徴ともいえるのが、業界最大の定格内容積、730Lであること(※)。庫内幅は最大約78cm。大きな寿司桶もそのまま庫内へ収納できる。 ※2015年7月16日時点、日立アプライアンス調べ。

庫内サイズが大きくなると「冷蔵庫の扉が重い」「庫内の奥のものが見えづらい」といったデメリットも発生しやすい。しかし、R-X7300Fは冷蔵室、野菜室、下段冷凍室がすべて電動ドアに対応。軽くスイッチを押すだけで、自動的にドアや引き出しが開く。

幅70cmの巨大なトレーに乗せた40人分のケーキもそのまま冷蔵庫に入れられる。パーティ用に作った料理も、余裕をもって収納できる

幅広になったため、製氷室には小物を入れるスペースもできた。カップ型アイスクリームや保冷剤などを入れる用途を想定している

冷蔵庫ドアにある横線状のマークに軽く触れるとドアが自動で開く。引き出し式の収納庫は、引き出し上部のボタンを押せば自動でオープン

また、冷蔵室はもちろん、真空チルド室と野菜室にも独立してLED照明を配置。庫内が奥まで明るく見やすいように工夫されている。そのほか、引き出し式の野菜室と下段冷凍庫はフルオープン可能。一番奥にしまい込んだ食材も取り出しやすい。

冷凍庫と野菜室は引き出しタイプの収納庫だが、どちらもフルオープン可能。大きな食材や、奥の方に埋もれた食材もすぐに取れる。野菜室にはLEDが搭載され、明るく視認性が良いのも特徴

マルチバルブ制御で省エネ性能もアップ

冷蔵庫の課題でもある「省エネ」性能もアップした。日立アプライアンスの冷蔵庫では、2011年モデルから、温度や湿度にあわせて、冷媒液の流れる経路を切り替える「冷却バルブ制御」を採用していた。今回の新製品ではさらに、使用状況に合わせて、使用する極細管を切り替える機能を追加。昼間はパワフルに運転、家族が寝静まった夜中は省エネ運転といった切り替えができる。1つのバルブで、5つの冷媒口を切り替える「マルチバルブ制御」によって、より高い省エネ性能を実現しているという。

5つの冷媒口を設けて経路の切り替えを1つのバルブで行う「マルチバルブ制御」を採用

コンパクトな下位モデルも発表

今回の発表会では、最上位機種のR-X7300F以外に11機種が発表された。製品は大きく分けて3シリーズ。R-X7300Fと同じく両ドアタイプの「Xシリーズ」、野菜室の電動引き出し&フルオープン機能を搭載していない両ドアタイプの「Gシリーズ」、片開きドアタイプの「Sシリーズ」だ。Xシリーズは730Lタイプの「R-X7300F」のほか、670Lの「R-X6700F」、620Lの「R-X6200F」、565Lの「R-X5700F」、517Lの「R-X5200F」の計5機種。また、Gシリーズは620Lの「R-G6200F」、565Lの「R-G5700F」、517Lの「R-G5200F」、475Lの「R-G4800F」の計4機種。Sシリーズは501Lの「R-S5000F」、470Lの「R-S4700F」、415Lの「R-S4200F」の計3機種を用意する。

今回発表された「真空チルド」シリーズの全12製品