2013年10月にNVIDIAが発表した「G-SYNC」は、GPUの描画をより滑らかに表示することができるディスプレイ技術だ。これに対応する市販ディスプレイの第1弾製品群として登場したのがASUSTeKの「PG278Q」である。

R.O.G.ブランドのゲーミングディスプレイ。汎用というよりはゲーム専用がベスト!?

ASUSのPG278Qは、正式には「R.O.G. SWIFT PG278Q」という製品名だ。R.O.G.は、ゲーマーやオーバークロッカー向けブランドであるが、PG278Qはゲーミング用途向けのハイエンドディスプレイという位置付けの製品になる。

製品名からある程度分かる通り、PG278Qは27型のディスプレイであり、1920×1080ドットの約1.8倍の情報量を表示可能な2,560×1,440ドットのWQHD解像度をサポートする。また、垂直周波数は50~144Hzに対応、一般的なディスプレイが60Hzであるのに対し、120Hzや144Hzを適用することでより滑らかな描画になる。応答速度はグレーtoグレーで1msと、ゲーミングディスプレイのトレンドをしっかりと押さえている。

スタンドを一番伸ばしたところ。高さ調整は120mm。27型というサイズもあって、伸ばすとかなり高さを感じる

スタンドを一番低縮めたところ。液晶ベゼルが狭く、ベゼルとパネルの段差も低く、ほとんどツライチなデザインは見栄えが良い

スタンドは、スウィーベルが左右60度、高さ調節が0~120mm、チルトが上20度~下5度。左右スウィーベルは十分に感じたほか、高さはそもそも27型なのでそこまで上げて使用するということも考えにくく、こちらも使用に当たって問題無い範囲で調整が可能だ。チルトに関してはそこまで大きく調整できるわけではないが、机の上で使用する範囲では十分だ。なお、ピボットにも対応しているので、縦画面でSTGをプレイしたい人も安心だ。

ピボットにも対応する。使う機会が限られてしまうが、特定のジャンルではぜひほしい機能だ

スタンド部分はケーブル用のホールが有る

スウィーベルは左右60度

パネルはTN方式を採用する。IPS方式でないのは残念だが、120Hz以上の垂直周波数に対応したPC用ディスプレイの多くがTN方式を採用しており、この製品だけのウィークポイントではない。視野角は水平170度、垂直160度と、スペック的にはがんばっている。実際、上下左右から見て、かなり角度をつけない限りは、そこまで色味の変化がひどいとは感じられない。ただ、角度が浅い場合は淡い色味となり、白は黄色がかった色味となった。

正面からの色味

斜めからの色味

斜め上からの色味

角度によっては白が黄色かかって見えることも

基本的に、PCゲームプレイ時はディスプレイの正面に座ることになるだろうから、このくらい高性能なTNパネルなら、そこまで問題になることはないだろう。業務などでも、正面に座っている限りは大丈夫だ。ただし、正面を外れれば色味が変化してしまうので、ディスプレイから距離をおき、楽な姿勢で映像を視聴したいという場合には、この色味の変化が気になってしまうかもしれない。そのため、汎用ディスプレイというよりは、はじめからゲームに用途を限定して使用するのが良さそうだ。

ディスプレイ設定用のスイッチは、背面右下にまとめられている。タッチ式ではなく、ちゃんと物理ボタンになっていて操作しやすい。垂直周波数が60Hz、120Hz、144Hzという3つがプリセットされており、ボタンひとつで切り替え可能なところも便利だ。されている。

ボタンのアイコンは表の右下にあるが、実際のボタンは同じ位置の裏面にある。一番上はジョイスティックのような構造でメニュー操作がラク

前述の通り、PG278QはG-SYNC対応という点が大きな特徴だが、G-SYNCはいまのところDisplayPortのみのサポートとなる。従って、PC側の映像出力端子とディスプレイ側の映像入力端子の両方に、DisplayPortが搭載されていることが前提条件になる。

NVIDIAによると、G-SYNCはGeForce GTX 650 Ti Boost以上のGPUを搭載したグラフィックスカードで利用可能だという。しかし、120Hzや144Hzという垂直周波数に合わせた高いフレームレートの描画となると、スペック的にハイエンドモデルを選択する必要があるだろう。

インターフェースは、ACアダプタ用ジャックとDisplayPort×1、USB 3.0のアップ×1、ダウ×2というかなりシンプルなもの。とくにG-SYNC対応によって映像入力がDisplayPort×1になっている点は要注意。古いGPUを搭載するグラフィックスカードや、ミドルレンジ以下のGPUを搭載するグラフィックスカードでは対応しない場合もある

もうひとつG-SYNC対応による制約として、電源がACアダプタとなる点が挙げられる。サイズはコンパクトなので、設置にこまることはない。また、ケーブルが柔らかいので、電源内蔵型のように曲がりにくい太いケーブルを配線する必要もない

このほか、ソフトウェア面では、ASUSの独自機能「GamePlus」を搭載している。ちょっとチートくさいがPCを介さず「Aimポインター」なる照準を表示できたり、タイマーを表示できたりする。