電波の「飛び」は良好

まず、手持ちの11ac対応機器である「Nexus 5」を使って、WXR-2533DHPと通信してみた。自宅内のあちこちで試したところ、接続性はよい。直線にしてどれくらいの距離で通信できるのかと、屋外でも利用できる電波(W56の100ch)に設定し、家の外からも通信してみた。すると、おおむね40mまで接続していることが確認できた(もちろん転送速度は落ちる)。

Nexus 5での転送状況をアプリ「WiFi Speed Test」を使って確認してみた(自宅のLinuxサーバーでPythonスクリプトのサーバープログラムを動かした)。テスト環境の制限もあってやや実効速度が遅かったが、安定した転送となっていることがわかる

こちらは外に出てリンクギリギリまで離れた場合の転送状況。一時的に落ち込むこともあるが、低速リンクでも安定していた

自宅のWXR-2533DHPと接続端末のNexus 5が、どれぐらい離れているかをスマホゲーム「Ingress」の画面で示したのがこれ。ポータル(緑の集中線の中央)から5m先ほどが自宅で、けっこう離れてもWi-Fiアイコンが点灯している(オレンジの円が、自分のいる位置から40mを示すライン)。筆者が普段使っているバッファローの旧機種と比較して、2倍ほど離れても通信できた

条件しだいでギガビット有線LANに比肩するスピード

2015年6月の時点では、11acの4×4 MIMOに対応した「子機」が存在しない。よって、WXR-2533DHPの最大通信速度(規格値)である1,733Mbpsに対して、実際にどれほどのスループットが出るのかをきちんと検証するのは難しい。

今回は2台のWXR-2533DHPを用いて、WXR-2533DHP同士の実効速度を計測してみた。計測用のPCはWXR-2533DHPの有線LANハブに接続しているため、1000BASE-T(Gigabit Ethernet)が規格上の上限となる点はご容赦いただきたい。仮に、1000BASE-Tと同レベルのスループットが出るとすれば、それはそれで注目に値するだろう。

テスト環境だが、木造二階建ての隅にある仕事部屋に、WXR-2533DHPを設置。そして転送テスト用のサーバーマシンを接続した。もう一台のWXR-2533DHPはブリッジモードにして、仕事部屋に置いたWXR-2533DHPに接続(いわゆるイーサネットコンバータとして使用)。ブリッジモードのWXR-2533DHPには、転送速度テスト用のノートPCを1000BASE-Tで接続し、WXR-2533DHP(仕事部屋)とWXR-2533DHP(ブリッジモード)の無線LANスピードを計測した。テストには「LAN Speed Test」という有償ソフトを使用し、500MBのデータを同時に10ストリーム流して比較している。

事前のテストとして、WXR-2533DHPの有線LANハブにサーバーマシンとノートPCをつなぎ、100BASE-Tの実効速度を計測。これは950.4Mbps程度となった。

WXR-2533DHP同士の無線LAN通信は、仕事部屋の中に二台のWXR-2533DHPを設置した場合は「912.6Mbps」程度と、1000BASE-T有線LANとほぼ同等だ。さらに、仕事部屋から壁を一枚へだてた隣室では「655.7Mbps」、さらに二部屋を離すと「402.0Mbps」だった。距離と障害物の影響はあるものの、十分な速度といってよいだろう。