決定的に体験が異なる瞬間

iOS 9で搭載されるマルチタスク機能とビデオの子画面再生は、iPadが持つ画面サイズによるメリットを、体験の中で実感することができる機能として、重要なアップデートとなるはずだ。

非常に象徴的なのは、iPad Air 2で実現する画面分割をしなくても、iPadの右端にiPhoneの画面を内蔵し呼び出せるようになる感覚が得られることだ。

iPad Air 2では、画面分割にも対応する。画面の中で左右のアプリの比率を変えてアプリを利用する事ができる

もしもiPadでコンテンツを楽しみながらiPhoneでメッセージなどのコミュニケーションに対応していた人は、同じことがiPadだけで実現できるようになる。より積極的なiPad活用と、利用シーンの拡がりをもたらす、大きな体験の違いが生じることになるだろう。

iOS 9はiPhone向け、iPad向けそれぞれ、秋以降の提供開始となるが、開発者向けには既にベータ版が公開されており、パブリックベータは7月に一般ユーザー向けに利用できるようになる予定だ。

iOS 9がiPadに再注目させる契機となるか、注目していきたい。

松村太郎(まつむらたろう)
ジャーナリスト・著者。米国カリフォルニア州バークレー在住。インターネット、雑誌等でモバイルを中心に、テクノロジーとワーク・ライフスタイルの関係性を執筆している。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、ビジネス・ブレークスルー大学講師、コードアカデミー高等学校スーパーバイザー・副校長。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura