ノートパソコンというスタイルに打ち勝つ何か、とは?

Apple Wireless Keyboardはフルサイズで申し分ない使い勝手ですが、これをで先に持ち運ぶのは形状も相まって難しいところです。また、iPadにもキーボードにも、机が必要です。そこで、これはMac向けのモバイルデスクなのですが、アメリカ製のバンブー材で作られた「板」、SlateGoを用意してみました。大きめの穴が空いている単なる板で、右側にはiPhone 6 Plusにぴったりなサイズのトレーが用意されています。工夫は施されていますが、やっぱり「板」ですね。

iPad mini 2、Apple Wireless Keyboard、そしてモバイルデスクあるいは単なる「板」であるSlateGoの組み合わせ。夕方やっと日が射してきて、貴重な日光浴をしながらこの原稿を書くチャンスに恵まれました

これの上にiPadを立てて、キーボードを配置すれば、机のない場所でもiPadと打ちやすいキーボードでガンガンタイピングができる、というわけです。とはいえ、iPad、キーボード、そして「板」を持ち歩ける環境とはどこでしょう。自宅のリビングルーム、あるいはアパートにある、霧がなければゴールデンゲートブリッジが望める(つまりほぼほぼ見られない)共用テラスぐらいしか、思い浮かびません。荷物が多すぎ、大きすぎるのです。

そこで取りいだしたるはMicrosoft Universal Keyboard。WIndows、Android、iOS全てをサポートするコンパクトなモバイルキーボードです。Apple Wireless Keyboardに比べるとキーは小さく、ミスタイプを防ぐにはかなりの慣れが必要ですが、このキーボードには前述の多すぎて大きすぎる荷物の問題を解決する工夫があります。

それは「キーボードのカバー」です。

iPadにもカバー、キーボードにもカバー、とカバーだらけなわけですが、Microsoft Universal Keyboardのフタにはヒンジに近い部分に溝が作られており、ここに厚さ10mmまでのデバイスを立てかけることができるのです。しかも、初めは気づきませんでしたが、このフタ部分は磁石でくっついているだけなので、取り外してデバイスを自由な場所で立てかけることが可能です。屋外でちょっとでも風が強いと、iPad mini 2のスマートカバーはすぐに風にあおられて倒れますが、このキーボードのフタなら心配ありません。

今度はMicrosoft Universal Keyboardとの組み合わせ。一応SlateGoを下敷きにしていますが、板なしでもキーボードカバーによって、きちんとタイピングができる環境が作れます

MacBookが絶妙すぎる

ノートパソコンより確実にコンパクトで、しかしきっちりタイピングができ、公園のベンチでも仕事ができる、そんなスタイルをiPad mini 2で作ることができそうです。しかしながら、ここで登場したのがMacBook。MacBookの920gという軽さ、フルサイズのキーボード、そして12インチのRetinaディスプレイという仕様は、絶妙過ぎる、の一言です。iPadで苦労して環境を整えなくても、これ1枚があればキーボードの問題も机の問題も解決してしまうわけです。

もちろん、iPad mini 2+Microsoft Universal Keyboardの組み合わせの方が224gほど軽いのですが、それであの快適さが手に入るなら、とその魅力を感じずに入られません。しかし、価格は4倍近くになるわけで、大いに考える余地、あるいは思いとどまる可能性があります。MacBookは確かに魅力的だし、iPadのポジションを奪いそうな存在です。しかし圧倒的な価格さと、「タブレットとして使えないこと」という2つのポイントがあります。

iA Writer Proの「Write」で書きあがった原稿を、「Edit」モードにしたら、iPadを手にとって、プリントされた文書を読むように確認することができます。この瞬間、iPad、やるじゃないか、とニンマリさせられるのでした。

松村太郎(まつむらたろう)
ジャーナリスト・著者。米国カリフォルニア州バークレー在住。インターネット、雑誌等でモバイルを中心に、テクノロジーとワーク・ライフスタイルの関係性を執筆している。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、ビジネス・ブレークスルー大学講師、コードアカデミー高等学校スーパーバイザー・副校長。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura